セッション情報 |
口演
NAFLD
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タイトル |
O-199:肥満者の肝機能障害および代謝異常の改善を目指した新しい治療戦略の展開
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演者 |
呉 世昶(筑波大学体育系スポーツ医学) |
共同演者 |
田中 喜代次(筑波大学体育系スポーツ医学), 正田 純一(筑波大学医学医療系) |
抄録 |
【背景・目的】肥満は,非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の重要な基盤に位置づけられており,NAFLDの治療には肥満の予防,治療が重要であるといえる.肥満対策として,一般に食事制限や運動実践が用いられるが,実際の有効性は大きくない.その理由として,肥満に関する個人能力の不在が繋がっている可能性がある.今回,肥満改善に対する肥満者の管理能力の増進を目標にする治療戦略を展開し,肝病態および代謝異常に及ぼす影響を検討した.【方法】本学主催の食事+運動介入(2011年)に参加した中年男性肥満者24名(年齢48.3±9.5,BMI 29.0±3.1)である.3ヶ月間,不適切な食生活および運動習慣の是正を主にした生活習慣プログラムを実施し,個人の肥満管理能力の増進を図った.参加者24名の前後の血清におけるNAFLDの肝病態因子を分析し,新しい治療戦略の有効性を検討した.【成績】肥満管理能力の増進を目標にした生活習慣プログラムの実施における各検査項目の前後差(*有意差あり)は,エネルギー摂取量(-685.4*),消費量(+134.3*),体重(-10.2*),内臓腹部脂肪面積(-66.7*),皮下腹部脂肪面積(-82.5*),VO2max(+6.3*),Fibro scan(-2.5*),ALT(-12.7*),γGT(-38.6*),ALP(-20.6*),A/G(+0.08*),Ferritin(-41.9*),高感度CRP(-0.10*),TBARS(-2.25*)adiponectin(+1.6*),HOMA-IR(-1.7*),NAFLD fibrosis score(-0.35*)であった.今研究で設定した全検査項目で優れた改善効果が示された.【結論】新しい治療戦略として,個人の肥満管理能力の増進は,短期間の介入にも関わらず,肝機能障害および代謝異常の改善に優れた効果を示した.肥満指導においては,先に肥満に対する個人能力の開発を優先する必要がある. |
索引用語 |
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