セッション情報 口演

AIH・PBC

タイトル O-202:

自己免疫性肝炎の臨床像ならびに長期予後の検討

演者 荒瀬 吉孝(東海大学消化器内科学)
共同演者 加川 建弘(東海大学消化器内科学), 津田 真吾(東海大学消化器内科学), 中原 史雄(東海大学消化器内科学), 広瀬 俊治(東海大学消化器内科学), 白石 光一(東海大学消化器内科学), 峯 徹哉(東海大学消化器内科学)
抄録 【目的】自己免疫性肝炎(AIH)は比較的予後は良好とされているが,再燃する症例や,LC,HCCへ進展する例も散見される.今回,AIHの臨床像ならびに長期予後を明らかにすることを目的として,当院のAIH症例を解析した.
【方法】1999年AIH改訂版国際診断基準スコアリングシステム(AIHスコア)がprobable以上の56例を対象とし,病型,検査所見,治療,転帰につき解析した.
【成績】男性9例(16.1%),女性47例(83.9%)で,診断時の年齢は中央値61.5(20-76)歳,AIHスコアはdefinite 32例(57.1%),probable 24例(42.9%),観察期間は中央値82.2(8-212)ヶ月であった.ALT 200 IU/ml以上かつT-Bil 2 mg/dl以上を示す急性肝炎様発症が7例(12.5%)に認められた.他の自己免疫疾患の合併は15例(26.8%)で認められた(SjS 7例,SLE 6例,甲状腺疾患3例,強皮症2例,RA 1例,MCTD 1例).治療開始時点でPSLを導入したのは36例(64.3%)で,他の20例(35.7%)はUDCAのみで治療が開始されていた.PSL導入症例では,AST,T-BilがUDCA開始群に比べ有意に高値であった(P<0.05).経過中の再燃は29例(51.8%)で,再燃までの期間は中央値19.2(1.7-137.3)ヶ月,年間再燃率は6.7%であった.再燃はPSL開始群で72.2%(26/36)と,UDCA開始群に比べて有意に高率であった(P<0.01).再燃はPSL 10 mg以下への減量時に多く,PSL増量あるいはアザチオプリン追加によりコントロール良好であった.UDCA開始群では15.0%(3/20)に再燃を認め,全例ともPSLを開始した.肝形態あるいは組織像などによりLCへの進展が認められたのは7例(12.5%)で,1例(1.8%)でHCCの出現が認められた.死亡は5例(8.9%)で認められ,そのうち肝関連死は2例(3.6%)であった.
【結論】AIHにおいて,PSLを使用せざるを得ないような症例では多くが再燃するため,慎重な減量が必要である.また,LC,HCCへ進展する症例も存在することから,厳重な経過観察が必要と考えられた.
索引用語