セッション情報 口演

AIH・PBC

タイトル O-203:

原発性胆汁性肝硬変におけるミトコンドリア蛋白陽性炎症細胞の分布とその意義

演者 佐々木 素子(金沢大学形態機能病理学)
共同演者 角田 優子(金沢大学形態機能病理学), 小林 水緒(金沢大学形態機能病理学), 宮腰 茉沙美(金沢大学形態機能病理学), 佐藤 保則(金沢大学形態機能病理学), 中沼 安二(金沢大学形態機能病理学)
抄録 【目的】原発性胆汁性肝硬変(PBC)はミトコンドリア抗原に対する免疫反応異常を特徴とするが,胆管病変の形成におけるその役割は十分解明されていない.私どもは,PBC胆管病変におけるミトコンドリア蛋白(Mit-P)の粗顆粒状発現とオートファジー異常の関連を報告したが,この時,PBCではMit-P陽性炎症細胞もみられることに気付いた.そこで今回,PBCと原発性硬化性胆管炎(PSC),慢性ウイルス性肝炎(CVH)など対照肝疾患におけるMit-P陽性炎症細胞の分布と種類,胆管病変との関連を検討した.【方法】PBC症例(n=37)とPSCなどの対照肝疾患(n=64)の生検,切除肝を用いて,免疫組織化学的にMit-P(cytochrome c oxidase,subunit I(CCO),E2 component of pyruvate dehydrogenase complex;PDC-E2)を発現する炎症細胞を検討した.発現細胞の局在を門脈域,胆管周囲/上皮内に分類して半定量的に評価した.また,2重免疫染色にてMit-P陽性炎症細胞の種類を検討した.【成績】門脈域のMit-P陽性炎症細胞浸潤の程度は,PBCと早期CVHで,正常肝より有意に高かった(p<0.01).胆管周囲/上皮内のMit-P陽性炎症細胞浸潤の程度は,早期PBCでPSC,CVHなどの対照疾患肝,正常肝より有意に高かった(p<0.01). Mit-P陽性炎症細胞は主に,1)CD68,MPO陽性の単球,類上皮細胞,2)CD79a,CD38,CD138陽性の形質芽球,形質細胞であった.Mit-P陽性CD3+T細胞は見られなかった.【結論】PBCの胆管病変では,特に胆管周囲/上皮内におけるMit-P陽性細胞浸潤が有意に高率に認められた.これらのMit-P陽性細胞が胆管病変の免疫病態形成に積極的に関与する可能性が示唆された.
索引用語