セッション情報 口演

AIH・PBC

タイトル O-204:

フィブロスキャンを用いた原発性胆汁性肝硬変の治療効果判定に関する検討

演者 三上 繁(キッコーマン総合病院内科)
共同演者 大西 和彦(キッコーマン総合病院内科), 清水 史郎(キッコーマン総合病院内科), 秋本 政秀(キッコーマン総合病院内科)
抄録 【目的】原発性胆汁性肝硬変(PBC)の標準的治療薬であるUDCAおよびBezafibrateの治療効果を明らかにするため当院にてフィブロスキャンを施行したPBC症例の治療成績について検討した.【対象・方法】PBCと診断され,フィブロスキャンを施行した27例を対象とした.診断時の年齢は54.6±8.5歳(34~71歳,中央値55歳).性別は男5例,女22例.観察期間は83.4±56.1カ月(中央値93カ月).診断の契機は,健診等で肝機能障害を指摘され当科を受診した症例が22例,他疾患で当科受診し診断された症例が3例,他疾患で他科通院中に当科紹介された症例が2例.Scheuer分類はstage1が5例,stage2が15例,stage3が3例,分類不能が4例.抗核抗体は陰性10例,40倍7例,80~640倍4例,1280倍以上が6例.抗ミトコンドリア抗体は陰性5例,20倍4例,40倍4例,80倍5例,160倍4例,320倍以上が4例,判定保留1例.抗ミトコンドリアM2抗体は5未満7例,6~20が5例,21~50が2例,51~100が5例,101以上が8例.治療方法は,UDCA 600mg/日単独が12例,UDCA 600mg/日とBezafibrate 400mg/日の併用が14例,無治療が1例であった.【治療成績】治療前の検査成績はT-Bil 0.73±0.30mg/dL,Alb 4.12±0.39g/dL,AST 60.3±37.2U/L,ALT 68.6±55.0U/L,ALP 719.3±558.2U/L,γ-GTP 322.3±355.9U/L,IgM 349.0±208.3mg/dLであった.治療後の検査成績はT-Bil 0.69±0.69mg/dL,Alb 4.20±0.33g/dL,AST 31.7±18.3U/L,ALT 23.9±14.3U/L,ALP 293.1±127.9U/L,γ-GTP 73.3±89.1U/L,IgM 226.4±141.1mg/dLであった.フィブロスキャンの測定値は8.64±10.8kPa(中央値6.4kPa)で,6カ月後に再検した5例の測定値の推移は,7.1→7.1kPa,9.6→4.3kPa,9.7→5.5kPa,12.5→6.5kPa,7.3→7.4kPaであった.【結論】PBCに対するUDCA単独およびUDCA,Bezafibrate併用療法は肝機能障害の改善に有効であり,長期間の経過観察においても線維化進展例は少なく,線維化の進展を抑制している可能性が示唆された.
索引用語