セッション情報 口演

AIH・PBC

タイトル O-205:

原発性胆汁性肝硬変,原発性硬化性胆管炎に対する生体肝移植後の再発についての検討

演者 山本 憲彦(三重大学医学部消化器肝臓内科)
共同演者 白木 克哉(三重大学医学部消化器肝臓内科), 竹井 謙之(三重大学医学部消化器肝臓内科)
抄録 【目的】ウイルス性肝炎や肝細胞癌に対する生体肝移植後の原疾患の再発に関してはよく知られている.しかし,自己免疫関連肝疾患の再発に関しては定まった見解はない.今回我々は,原発性胆汁性肝硬変および原発性硬化性胆管炎の生体肝移植後の再発に関してその背景因子,診断,発症までの期間などについて検討した.【方法】2002年から2011年までに当院で生体肝移植を施行した134例について検討した.組織学的評価は原則的にプロトコール生検を行い,その他肝機能悪化時に適宜生検を行った.【成績】対象症例中,原発性胆汁性肝硬変(PBC)は15例,原発性硬化性胆管炎(PSC)は3例であった.PBC15例においては,移植後2ヶ月で肝不全,2週間で心タンポナーデ,20日後に敗血症で死亡した症例を除く12症例で検討した.12症例の平均観察期間は2022日間,再発は4例に認めた.再発までの平均期間は1531日間であった.またPSC3例中,癌性腹膜炎で5ヶ月後に死亡した1例を除く2例について検討した.平均観察期間は3303日間,2例とも再発し,再発までの期間は平均1040日間であった.ドナーはそれぞれ,父と姉であった.1例は,再発後肝機能が悪化し,再移植を行ったが,移植後早期に死亡した.また,再発PBC患者の抗ミトコンドリア抗体は,生体肝移植前および,再発時共に陽性であった.また,再発のマーカーとして,肝機能異常,また 画像診断で異常を示すもの,あるいは,血液学的に明らかな再発を認めなかったが,組織学的に再発を認めた症例も存在した.組織学的診断では,原疾患の再発と急性拒絶,慢性拒絶との鑑別に苦慮する症例も認めた.PSCの再発では特徴的な胆管所見がえられた.【結論】PBC,PSCに対する生体肝移植後の再発は,移植後晩期に発症することが多いため常にその存在を念頭におき,積極的に組織診断を行い確定診断をつけ,適切な対処を行う必要がある.
索引用語