セッション情報 口演

肝炎 他

タイトル O-206:

HCVゲノタイプ別のC型慢性肝炎における末梢血清中リポ蛋白の検討

演者 關 伸嘉(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター消化器・肝臓内科)
共同演者 宮崎 民浩(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター消化器・肝臓内科), 会田 雄太(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター消化器・肝臓内科), 板垣 宗徳(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター消化器・肝臓内科), 石黒 晴哉(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター消化器・肝臓内科), 安部 宏(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター消化器・肝臓内科), 須藤 訓(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター消化器・肝臓内科), 相澤 良夫(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】慢性HCV感染における末梢血中リポ蛋白プロファイルがHCVゲノタイプにより異なるか明らかにする.【方法】対象はIFN治療中でない慢性C型肝炎125例(HCV-G1b 97例,G2 28例;年齢61.0±13.1歳;男性48例,女性77例)で,空腹時末梢血清中リポ蛋白を高速液体クロマトグラフィー(LipoSEARCH)により粒子サイズ別にCM,VLDL,LDL,HDLに4分画後,13亜分画に分画し,コレステロール濃度と中性脂肪濃度を測定した.またHCV-RNA量,ALT,AST,γ-GTP,血小板数,血清アルブミン値,総コレステロール(TC),中性脂肪(TG),直接測定法によるLDL-コレステロール(LDL-C)などの臨床検査値を測定しG1bとG2の臨床病態の違いについて検討した.【結果】G1bとG2で有意な差を認めた因子は年齢,ウイルス量,ALT,γ-GTP,LDL-Cで,年齢とウイルス量はG1bで高く,ALT,γ-GTP,LDL-CはG2で高値であった.特に年齢はG1bで63.5±11.3歳,G2で52.3±15.6歳(p=5.13E-5)と,顕著な差を認めた.TCは165.6±31.6 vs 175.6±35.0(mg/dl)(p=0.15)と,G2で高い傾向はあるが有意差はなく,TGには差を認めなかった.LipoSEARCHによる13亜分画での検討では,medium size VLDL中のコレステロール(medium VLDL-C)は11.5±5.5 vs 14.6±6.4(p=0.014),small LDL-Cは14.4±5.6 vs 17.8±7.3(p=0.009),very small LDL-Cは6.2±2.0 vs 7.6±2.8(p=0.006)と,いずれもG2で有意に高値であった.しかしTGの亜分画では差を認めなかった.臨床背景因子,一般臨床検査因子についてのロジステイック回帰モデル解析では,年齢およびウイルス量がG1bとG2を識別する有意な独立因子であり,LipoSEARCHで同定されたリポ蛋白因子を加えて検討すると,リポ蛋白因子ではmedium VLDL-Cのみが有意な独立因子として抽出された(OR=1.08,95%CI;1.01-1.16,p=0.03).【結論】慢性C型肝炎ではゲノタイプの違いにより血中リポ蛋白亜分画に差がみられ,medium VLDL-CはHCV-G1bで特異的に低値であることが示された.
索引用語