セッション情報 |
口演
肝 基礎2
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タイトル |
O-210:亜鉛のC型肝炎ウイルスに対する抑制効果の解析
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演者 |
田村 彰教(日本大学医学部附属板橋病院消化器肝臓内科) |
共同演者 |
益岡 晋也(日本大学医学部附属板橋病院消化器肝臓内科), 伊藤 潔(日本大学医学部附属板橋病院消化器肝臓内科), 上村 慎也(日本大学医学部附属板橋病院消化器肝臓内科), 松岡 俊一(日本大学医学部附属板橋病院消化器肝臓内科), 森山 光彦(日本大学医学部附属板橋病院消化器肝臓内科) |
抄録 |
【目的】今日まで,微量元素である亜鉛がC型肝炎ウイルス(HCV)増殖抑制に関与することが知られている.今回我々は亜鉛の抗HCV効果を確認し,亜鉛により発現される遺伝子を網羅的に検出し,発現遺伝子の検討をおこなった.【方法】OR6,HCV全長ゲノム配列とルシフェラーゼ遺伝子およびネオマイシン耐性遺伝子を結合したRNA(レプリコン)を,12時間培養し亜鉛をそれぞれに0μM,50μM,100μM,150μM,200μMを加え,72時間まで培養した.培養開始後0時間,24時間,48時間,72時間後ルシフェラーゼ活性および細胞数を測定した.ルシフェラーゼ活性は市販のルシフェラーゼ活性測定キットを使用し,細胞を回収し,Monolight 3010(BD Biosciences社)を用いて蛍光活性の測定を行った.また,宿主遺伝子の動態の変化をAffymetrix Genechipで解析した.【結果】亜鉛が単独でHCV抑制効果を示したことを確認した.亜鉛0μM,0時間と亜鉛0μM,72時間の比較で,遺伝子発現強度2倍以上の亢進が確認されたものはなかった.2倍以上の抑制が確認されたものは,HSPA6,TXNIP,SNORA6であった.亜鉛0μM,0時間と亜鉛100μM,72時間の比較で,発現強度2倍以上の亢進が確認されたものは,Metallothionein-1M(MT1M),Metallothionein-1A(MT1A),Tryptophan 2,3-dioxygenase(TDO2),Sulfotransferase family 1E,estrogen-preferring member 1(SULT1E1).2倍以上の抑制が確認されたものは,HSPA6,Serum amyloid A4(SAA4),Transmembrane protein 27(TMEM27),Solute carrier family 6,member 14(SLC6A14),Cyclin M1(CNNM1)であった.【結論】マイクロアレイ解析では,HCV repliconにおいて亜鉛付加により,MT,TDO2,SULT1E1の発現増加を認めた.MTは他施設でも増加の報告がある.今後これらのin vitroでの追加検討が必要であるが,TDO2は活性酸素などとの関係も考えられる.SAA4はHDL,HBVワクチンとの関与の報告もあり,今後さらなる解析をおこなってゆく. |
索引用語 |
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