セッション情報 口演

肝 基礎2

タイトル O-213:

カルニチン及びビタミンE投与によるNASH病態改善と腸管内Inflammasome発現の関連

演者 石川 久(岡山大学消化器・肝臓内科学)
共同演者 高木 章乃夫(岡山大学消化器・肝臓内科学), 津崎 龍一郎(岡山大学消化器・肝臓内科学), 安中 哲也(岡山大学消化器・肝臓内科学), 小池 和子(岡山大学消化器・肝臓内科学), 山本 和秀(岡山大学消化器・肝臓内科学)
抄録 【目的】NASH(Non-alcoholic steatohepatitis)は,脂肪肝の存在とともに炎症細胞の浸潤と線維化の進行を認めるものと定義され,肝硬変さらには肝細胞癌へと進行していくことが臨床において問題となっている.最近,NASHの病態進展と腸管内Inflammasome関連遺伝子発現との関係についての検討が報告され,腸管内Inflammasome発現が亢進したほうが病態を改善するとされている.今回我々は,NASH-肝硬変-肝細胞癌モデルであるStreptozotocin(STZ)投与に高脂肪食負荷を組み合わせるSTAMマウス(ステリック再生医学研究所)を用いてNASHの病態に対する抗酸化物質としてのカルニチンおよびビタミンEの効果と腸管内Inflammasome発現の変化について検討した.【方法】高脂肪食を摂取した8週齢のSTAMマウスを3群に分け,以下のように餌を与えた:(1)対照高脂肪食(S群)(2)高脂肪食+カルニチン(SC群)(3)高脂肪食+ビタミンE(SE群).12週齢にsacrificeを行い,肝組織像・肝内8-OHdG濃度・肝内の炎症および脂肪酸代謝関連遺伝子発現・腸管内Inflammasome関連遺伝子発現について比較した.【結果】組織学的にSC群とSE群ではS群と比較して脂肪沈着・炎症・線維化の程度が軽減していた.肝内8-OHdG濃度はS群(1.71±0.32ng/mgDNA),SC群(1.24±0.19ng/mg/DNA),SE群(1.29±0.17ng/mgDNA)であった.以下の遺伝子の肝組織におけるmRNA発現定量の比は各々,TNF-α(1:0.47:0.77),AOX(1:2.36:3.19),MCAD(1:3.75:3.15),PPARα(1:3.14:3.57),PPARγ(1:5.21:6.45)で,薬剤投与によってミトコンドリアβ酸化,PPAR群の発現が亢進し,炎症を改善しているものと考えられた.一方,腸管内Inflammasome関連遺伝子発現はASC(1:2.11:1.40),NLRP3(1:1.33:1.33)であり,薬剤投与により亢進していた.【結論】NASHモデルにおいてカルニチンおよびビタミンE摂取は腸管内Inflammasome発現を亢進させ,肝内の炎症・線維化の改善を誘導する可能性がある.
索引用語