セッション情報 口演

肝 基礎3

タイトル O-214:

アディポサイトカインSecreted frizzled-related prtein5(Sfrp5)KOマウスを用いた肝線維化の検討

演者 茶谷 徳啓(大阪大学消化器内科学)
共同演者 鎌田 佳宏(大阪大学消化器内科学), 古田 訓丸(大阪大学消化器内科学), 木津 崇(大阪大学消化器内科学), 柄川 真弓(大阪大学消化器内科学), 濱野 美奈(大阪大学消化器内科学), 竹村 貴代(大阪大学消化器内科学), 江崎 久男(大阪大学消化器内科学), 吉田 雄一(大阪大学消化器内科学), 下野 明彦(株式会社トランスジェニック), 大内 乗有(名古屋大学分子循環器学), 木曽 真一(大阪大学消化器内科学), 竹原 徹郎(大阪大学消化器内科学)
抄録 【背景および目的】肥満は肝線維化を促進し,その過程でアディポサイトカインが重要な役割を担っている.Wntシグナル阻害作用のあるSfrp5は新規アディポサイトカインとして同定され,阻害標的のWnt5aおよびその受容体Frizzled2は肝線維化過程で発現が著明に上昇する.Wnt5aは線維化促進に働くJNKを活性化させるが,Sfrp5の線維化過程における働きはいまだ不明である.そこで今回我々はSfrp5の肝線維化における役割をSfrp5-KO(KO)マウスを用いて検討した.【方法】1)急性肝障害:8週齢♂KOマウス,対照としてC57BL6Jマウス(WT)を用いた.四塩化炭素(CCl4)1回腹腔内投与(0.5ml/kgbw)し経時的に屠殺し,肝障害を血清ALT値,肝組織像で,肝JNKリン酸化をウェスタンブロットで比較検討した.2)肝線維化:8~12週齢♂KO,WTマウスにCCl4を腹腔内投与(0.5ml/kgbw,2回/週,6週間)し,sirius red染色で肝線維化を評価した.3)肝星細胞(HSC)をWTマウス肝臓よりコラゲナーゼ灌流法で分離培養し,TGF-β,Wnt5a刺激によるJNK,Erkリン酸化をウェスタンブロット,遺伝子発現をrealtime RT-PCR法,遊走能をwound healing assayで検討した.【結果】1)両群で肝障害に差は認めず,JNKのリン酸化がKOマウス肝臓で亢進していた.2)KOマウスの肝線維化領域がWTマウスと比較し約2倍と有意に増加していた(p<0.005).3)HSCにTGF-β,Wnt5aを添加することでJNK,Erkのリン酸化を認めた.TGF-β刺激によりWnt5aの遺伝子発現が誘導された.また,Wnt5a刺激による遊走能亢進も認めた.【結論】Sfrp5欠損により相対的にWnt5aの働きが亢進することでHSCのJNK,Erkリン酸化,遊走が亢進し,肝線維化の増悪を引き起こした可能性が示唆された.Sfrp5は肝線維化に保護的に作用すると考えられた.
索引用語