セッション情報 口演

肝 基礎3

タイトル O-216:

培養胆管上皮細胞を用いた細胞老化,オートファジー,アポトーシスの関連の検討

演者 宮腰 茉沙美(金沢大学医薬保健研究域医学系形態機能病理学)
共同演者 佐々木 素子(金沢大学医薬保健研究域医学系形態機能病理学), 佐藤 保則(金沢大学医薬保健研究域医学系形態機能病理学), 中沼 安二(金沢大学医薬保健研究域医学系形態機能病理学)
抄録 【目的】障害を受けた細胞では細胞老化が生じ,やがて死に至るが,その過程には不明な点が多い.細胞死には,アポトーシス,ネクローシス,オートファジーの3つのタイプがある.本研究では,障害胆管細胞における細胞老化,オートファジー,アポトーシスの関連について培養胆管上皮細胞を用いて検討を行った.【方法】マウス胆管上皮細胞をコラーゲンゲル包埋法により三次元培養することで,嚢胞を形成させた.その後H2O2,グリコケノデオキシコール酸(GCDCA),タウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)を添加した.また,培地にオートファジー阻害剤,アポトーシス阻害剤を添加し,その影響を検討した.添加後に168時間の培養を行い,SA-β-Gal染色で老化細胞の検出,アポトーシスマーカーのssDNA,オートファジーマーカーのBeclin-1などの免疫染色を行って,これらの発現を検討した.【成績】H2O2,GCDCAを培地に添加した細胞ではSA-β-Gal陽性細胞が増加しており,細胞老化の誘導が見られた.また,免疫染色の結果から,アポトーシス,オートファジーが促進されていることが分かった.アポトーシスの発生はH2O2刺激後24時間で最も高かったが,オートファジーの発生は刺激後144時間で最も高かった.また,H2O2,GCDCAに加えアポトーシス阻害剤を添加するとオートファジーの増加が見られた.【結論】酸化ストレスや胆汁酸により,培養胆管細胞には細胞老化が誘導され,これらの障害細胞にはオートファジー,アポトーシスが起こり,細胞死に至ると考えられた.
索引用語