セッション情報 | 口演肝 基礎3 |
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タイトル | O-217:肝細胞におけるアダプター蛋白質Gab1欠損は,マウス胆汁うっ滞誘導性肝線維化を増悪させる |
演者 | 木津 崇(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学) |
共同演者 | 吉田 雄一(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学), 古田 訓丸(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学), 柄川 真弓(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学), 茶谷 徳啓(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学), 濱野 美奈(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学), 江崎 久男(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学), 鎌田 佳宏(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学), 木曽 真一(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学), 竹原 徹郎(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学) |
抄録 | 【目的】慢性肝障害時における異常な肝再生は最終的に肝線維化を引き起こす.今回我々は,肝再生に重要な役割を担うGrb2 associated binder-1(Gab1)に着目して,肝障害時の一連の分子機構を検討した.【方法】1)肝特異的Gab1flox;AlbCreマウス(KO)を作製し,対照としてGab1floxマウス(WT)を用いた.これらのマウスに対して,総胆管結紮術(BDL)による肝線維化を評価した.2)障害肝における肝再生ならびに肝障害を評価した.3)増殖因子受容体のリン酸化や増殖因子の遺伝子発現を評価した.4)cDNAマイクロアレイを用いて,肝線維化に関与する遺伝子を網羅的に探索した.【成績】1)KOではWTに比し肝線維化領域が約2.0倍と有意に増加し,肝ヒドロキシプロリン含量が約1.5倍と有意に増加した.また,KOではWTに比し肝組織αSMA陽性細胞の増加を認め,Col1a1,Col1a2,αSMA,TGFβの肝線維化関連マーカー遺伝子発現量が有意に増加した.2)BDL後障害肝において,KOではWTに比しKi 67陽性肝細胞数が52.3%と有意に減少し,TUNEL陽性肝細胞数が約1.5倍と有意に増加した.3)肝線維化組織において,KOではWTに比しc-METのリン酸化が著明に亢進し,そのligandであるHGFの遺伝子発現量が有意に上昇した.4)肝線維化組織を用いた網羅的遺伝子解析の結果,BDLを施行したKOでWTに比し上昇している遺伝子として,肝線維化促進作用を有するケモカインCCL5が同定され,その発現量はKOではWTに比し5.09倍と有意に増加した.実際,KOではWTに比し肝線維化組織中のCCL5陽性肝細胞の増加を認めた.【結論】肝細胞におけるGab1欠損は,BDLモデルにおける肝線維化を増悪させた.その機序として,Gab1欠損による肝障害や再生障害に加え,肝細胞由来CCL5誘導の関与が示唆された. |
索引用語 |