セッション情報 口演

肝 基礎4

タイトル O-220:

高脂肪動脈硬化食非アルコール性脂肪肝炎モデルマウスに対する分枝鎖アミノ酸及び非環式レチノイドの線維化及び発癌抑制効果

演者 竹越 快(金沢大学附属病院消化器内科)
共同演者 本多 政夫(金沢大学附属病院消化器内科), 岡田 光(金沢大学附属病院消化器内科), 近藤 光正(金沢大学附属病院消化器内科), 篁 俊成(金沢大学附属病院代謝内科), 金子 周一(金沢大学附属病院消化器内科)
抄録 【目的】我々は非環式レチノイド(NIK-333)の線維化抑制効果及び発癌抑制効果をPDGFC-Tgマウスを用いて報告してきた.また,分枝鎖アミノ酸(BCAA)に関しても,その線維化抑制効果についてマウスモデルを用いて検討してきた.今回,高脂肪動脈硬化食(Ath+HF)非アルコール性脂肪肝炎(NASH)モデルマウスに対してBCAA,NIK-333ならびに両者の併用療法を行い肝線維化及び発癌に対する効果を検討した.【方法】8週齢の雄性C57BL/6Jマウスを以下の5群に分けた:(1)通常食(Basal Diet)群,(2)Ath+HF群,(3)Ath+HF+BCAA群,(4)Ath+HF+NIK-333群,(5)Ath+HF+BCAA+NIK-333併用群.30週間投与後と60週間投与後にそれぞれ肝組織を摘出した.また,確立した線維化状態での効果を検討するために40週間Ath+HF投与後にNIK-333を追加投与する検討も行った.肝線維化の程度,腫瘍数を測定し,組織免疫染色法,real time PCR法,Western blot法を用いてCollagen I/IV,αSMA,TGFβ,PDGFB/C,PDGFR-β,p-S6K,p-Erk及びRictorの発現を評価した.【成績】30週間のAth+HF食にて肝線維化を認め,BCAA群,NIK-333群及び併用群では肝線維化の改善を認めた.BCAA群,NIK-333群及び併用群ではCollagen I/IV,αSMA,TGFβ,PDGFB/C,PDGFR-β,p-Erk,Rictorの発現抑制を認めた.60週間のAth+HF食では90%のマウスに腫瘍発生を認めた.BCAA群,NIK-333群及び併用群では腫瘍発生が抑制された.また,40週間後からNIK-333を追加投与したマウスにおいても腫瘍発生率の抑制が認められた.【結論】NASHモデルマウスにおいてBCAA及びNIK-333の投与で肝線維化抑制と発癌抑制が得られた.BCAA及びNIK-333の投与に共通してPDGFR-β,Rictorの発現低下を認めており,PDGFR-β-Erk/MAPK経路を介した線維化抑制とmTORC2シグナルの抑制を介した発癌抑制が示唆された.
索引用語