セッション情報 |
口演
肝 基礎4
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タイトル |
O-221:TLR4を治療ターゲットにしたNASHおよびNASH発癌抑制への試み
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演者 |
三浦 光一(秋田大学消化器内科) |
共同演者 |
大嶋 重敏(秋田大学消化器内科), 大西 洋英(秋田大学消化器内科) |
抄録 |
【目的】NASHにおいて,腸内細菌叢の過剰増殖や腸管の透過性亢進により腸内細菌産物が多量に肝臓に達していることが報告されている.これら腸内細菌産物はToll-like receptor(以下TLR)を介して肝臓に炎症をもたらす.TLR4は代表的腸内細菌産物であるLPSの受容体である.TLR4はこれまでもNASH病態と関連が指摘されているが,NASH発癌と関連は不明である.そこで我々はNASHおよびNASH発癌モデルを用いて,TLR4の役割を検討した.【方法】NASHおよびNASH発癌モデルとして,コリン欠乏食長期投与マウスおよび肝細胞特異的PTEN欠損マウス(以下PTEN KO)をそれぞれ用い,以下の実験を行った.1)CDAA投与下のWTマウスに腸内細菌産物の減少目的に抗生剤(アンピシリン,ネオマシン,メトロニダゾール,バンコマイシン)を長期投与,2)TLR4 KOマウスにCDAA長期投与,3)PTEN KOマウスに抗生剤を長期投与4)PTEN KOマウスとTLR4 KOマウスを交配し,PTEN-TLR4のdouble KO(DKO)マウス作成.それぞれにつき,NASH重症度を検討し,PTEN KOを用いた系ではNASH発癌を検討した.【成績】WTマウスにコリン欠乏食24週間投与すると,高度の脂肪肝,炎症細胞浸潤,さらには肝線維化を認めた.同時に抗生剤を投与した場合,組織学的に炎症細胞浸潤および肝線維化の改善を認めた.抗生剤投与により血清ALTが低下し,肝臓の炎症性サイトカインや線維化マーカーも減少した.TLR4 KOマウスにCDAA食を24週投与した場合,組織学的に炎症細胞浸潤や線維化が軽減し,ALT低下,肝臓における炎症性サイトカインや線維化マーカーが軽減した.PTEN KOマウスに64週にわたり抗生剤投与した群では非投与群に比較し,血清コレステロールや中性脂肪値には差を認めないものの,ALTは低下し,肝重量および肝腫瘍サイズが低値を示した.PTEN-TLR4 DKOマウス48週齢では肝腫瘍は発生するものの,数や大きさはコントロールのPTEN KOマウスに比較し減少した.【結論】TLR4はNASHおよびNASH発癌の治療ターゲットとなりうる. |
索引用語 |
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