セッション情報 口演

胃 ESD 1

タイトル O-223:

分化・未分化混在癌におけるESD適応拡大の妥当性

演者 北川 善康(千葉県がんセンター消化器内科)
共同演者 鈴木 拓人(千葉県がんセンター内視鏡科), 原 太郎(千葉県がんセンター内視鏡科), 稲垣 千晶(千葉県がんセンター消化器内科), 喜多 絵美里(千葉県がんセンター消化器内科), 中村 奈海(千葉県がんセンター消化器内科), 相馬 寧(千葉県がんセンター消化器内科), 須藤 研太郎(千葉県がんセンター消化器内科), 中村 和貴(千葉県がんセンター消化器内科), 三梨 桂子(千葉県がんセンター消化器内科), 廣中 秀一(千葉県がんセンター消化器内科), 傳田 忠道(千葉県がんセンター消化器内科), 山口 武人(千葉県がんセンター消化器内科)
抄録 【背景・目的】現在,純粋な未分化型早期胃癌は,2cm以下,UL(-)の粘膜内癌であればESDの適応拡大になりうると考えられている.一方,分化・未分化混在型に関してはまだ十分なエビデンスはないが,純粋型よりリンパ節転移のリスクが高いといった報告もある.純粋型と混在型粘膜内癌の臨床病理学的特徴を比較し,混在型に対するESD適応拡大の妥当性について検討した.【対象・方法】2003年4月~2012年7月までに当センターでリンパ節郭清を伴う胃切除を施行した純粋型,混在型を含む未分化型粘膜内癌181例を対象とした.そのうち純粋未分化型(A群130例)と分化・未分化混在型(B群51例)にわけてリンパ節転移率,およびその危険因子について検討した.【結果】腫瘍径中央値はA群24mm,B群30mm,脈管侵襲陽性の割合はA群0%,B群1.9%であった.A群130例のうちリンパ節転移は2例(1.5%)に認めたが,いずれも腫瘍径70mmをこえる大型のもので,ULも存在していた.B群51例のうちではリンパ節転移は4例(7.8%)に認め,腫瘍径中央値は26mmで,1例に脈管侵襲を認め,2例にULが存在していた.転移の危険因子としては腫瘍径とULの存在があげられたが,B群のリンパ節転移のあった1例ではそれら危険因子を有していなかった.【結語】純粋型のうちリンパ節転移を認めたのは2cm以上,UL(+)の病変であり,現在のESD適応拡大の基準は妥当と判断された.従来いわれているごとくサイズとULが混在型においても転移の危険因子であったが,2cm以下のUL(‐)の病変でも1例にリンパ節転移を認めた.このため,混在型に対するESD適応拡大においてはまだ慎重にするべきと考えられた.
索引用語