セッション情報 口演

胃 ESD 1

タイトル O-224:

術後胃に発生した胃癌に対するESDの有用性

演者 西村 純一(山口大学大学院消化器病態内科学)
共同演者 西川 潤(山口大学大学院消化器病態内科学), 浜辺 功一(山口労災病院消化器内科), 中村 宗剛(山口大学大学院消化器病態内科学), 五嶋 敦史(山口大学大学院消化器病態内科学), 岡本 健志(山口大学大学院消化器病態内科学), 三浦 修(防府消化器病センター消化器外科), 坂井田 功(山口大学大学院消化器病態内科学)
抄録 【目的】胃部分切除後の残胃や食道癌術後の再建胃管などの術後胃にも胃癌は発生する.術後胃に発生した胃癌に対する内視鏡治療は,吻合や縫合,再建経路によって,安全性,確実性が低下する事が懸念される.そこで,術後胃に発生した胃癌に対するESDの有用性を検討するため,術後胃に発生した胃癌に対するESDと通常の胃癌に対するESDの切除成績を比較検討した.【方法】2006年4月から2012年3月までに当科および防府消化器病センターで,ESDを施行した術後胃の胃癌22症例23病巣,通常胃癌647例727病巣を対象とした.術後胃の内訳は,胃管6例,噴門側胃切除後3例,幽門側胃切除・Bill-I法再建9例,Bill-II法再建3例,R-Y再建1例であった.術後からの期間は平均91ヶ月(3-504ヶ月)であった.ESDの完全一括切除率,治癒切除率を比較した.術後胃群において吻合部・縫合線の有無が治療に及ぼす影響について検討した.ESDの偶発症である後出血・穿孔の発生率についても検討した.【結果】完全一括切除率については術後胃癌ESD:82.6%(19/23),通常胃癌ESD:92.3%(671/727)であり,両群間に有意差は認めなかった.また治癒切除率は術後胃癌ESD:69.6%(16/23),通常胃癌ESD:82.4%(599/727)と同様に有意差は認めなかった.術後胃で穿孔を1例認めたが,偶発症の頻度にも有意差は認めなかった.術後胃群において,病巣が吻合部・縫合線を含む場合に完全一括切除率が有意に低下した.また手術時間は吻合部・縫合線を含まない群(63.3分)と比較し,含む群(122.1分)で有意に長かった.さらに切除効率は吻合部・縫合線を含まない群(24mm2/分)と比較し含む群(13mm2/分)で有意に低下した.術後胃群において吻合部・縫合線の有無は治癒切除率や偶発症の発生率には影響を及ぼさなかった.【結論】術後胃のESDの切除成績は通常胃癌と同等であり有用であると考えられたが,縫合部・縫合線の存在により難度が高まる事が示唆された.
索引用語