セッション情報 口演

胃 ESD 1

タイトル O-225:

ESDにより胃全摘術が回避できた多発胃癌症例の検討

演者 坂東 悦郎(静岡がんセンター胃外科)
共同演者 杉沢 徳彦(静岡がんセンター胃外科), 徳永 正則(静岡がんセンター胃外科), 谷澤 豊(静岡がんセンター胃外科), 川村 泰一(静岡がんセンター胃外科), 絹笠 祐介(静岡がんセンター消化器外科), 金本 秀行(静岡がんセンター消化器外科), 上坂 克彦(静岡がんセンター消化器外科), 寺島 雅典(静岡がんセンター胃外科)
抄録 (目的)内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)により胃全摘術が回避できた多発胃癌症例の外科手術後における成績を明らかにすることを目的とした.(対象)2002年10月から2012年9月までに当科で経験した胃癌症例中ESD施行後に外科手術を施行した症例は388例であり,その内L領域もしくはU領域の早期胃癌をESDにより治癒切除を行い,その後幽門側胃切除,幽門保存胃切除もしくは噴門側胃切除を施行し胃全摘術が回避できた19例を対象とした.(結果)(U領域をESDした15例)すべてGL適応内もしくは拡大適応内で,外科にて選択した術式は幽門側胃切除13例(腹腔鏡補助下;2例),幽門保存胃切除が2例であった.主病変の深達度はSE;1例,SS;2例,MP;2例,SM;6例,M;4例であった.R0;達成14例(93%)で腹腔内洗浄細胞診(CY)陽性にて1例(7%)はR1切除となった.断端陽性症例は認められなかった.リンパ節転移は4例(27%)に認めた.合併症は2例(13%;吻合部出血,麻痺性腸閉塞)認めたがいずれも経過観察にて軽快した(両症例ともClavien-Dindo分類,Grade I).術後補助化学療法は2例に施行されいずれも完遂可能であった.再発は1例も認めず(平均観察期間50ヶ月,1-91),他病死を1例に認めたのみであった.(L領域をESDした4例)すべてGL適応内もしくは拡大適応内で,外科にて選択した術式は噴門側胃切除4例(再建はいずれも食道残胃吻合)であった.主病変の深達度はSM;3例,M;1例であり,4例ともR0達成され,断端陽性およびリンパ節転移は認められなかった.術後合併症は無く(4症例ともClavien-Dindo分類,Grade 0),再発も認めていない.(結語)ESD技術の発達により全摘が回避される多発癌の手術は増加すると考えられる.懸念されるESD瘢痕などによる縫合不全の増加や術中偶発症も無く,当センターの長期予後・短期成績とも満足すべき結果であった.主病変以外(主占居部位以外の)の早期癌発見のための精密な内視鏡検査が最も重要と考える.
索引用語