セッション情報 口演

胃 ESD 2

タイトル O-227:

当院での胃内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)後出血に関する検討

演者 藤井 宏行(亀田総合病院消化器内科)
共同演者 石井 英治(亀田総合病院消化器内科), 伊藤 裕志(亀田総合病院消化器内科), 角 一弥(亀田総合病院消化器内科), 平井 満(亀田総合病院消化器内科), 栃谷 四科子(亀田総合病院消化器内科), 土屋 寧子(亀田総合病院消化器内科), 山内 健司(亀田総合病院消化器内科), 岩木 宏介(亀田総合病院消化器内科), 小林 正佳(亀田総合病院消化器内科), 白鳥 俊康(亀田総合病院消化器内科), 稲瀬 誠実(亀田総合病院消化器内科), 岩田 麻衣子(亀田総合病院消化器内科), 中路 総(亀田総合病院消化器内科), 玉置 奈緒子(亀田総合病院消化器内科), 平田 信人(亀田総合病院消化器内科)
抄録 【目的】当院での胃内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)後出血の特徴およびリスク因子を明らかにする事.【方法】2003年5月21日~2012年6月14日までの間に当院で胃腫瘍性病変に対して施行した850症例947回のESDを対象とした.後出血発生率,後出血発症までの期間,輸血を後出血のリスク因子(年齢・性別・長軸部位[U/M/L]・短軸部位[小弯側/それ以外]・切除切片径・切除時間・基礎疾患[呼吸器疾患/糖尿病/心疾患/他臓器癌/腎疾患/脳血管障害]の有無・抗凝固薬/抗血小板薬内服の有無が後出血)についてretrospectiveに検討を行った.なおESD後出血とは吐下血を来し,Hb:2g/dl以上の低下を認めるものとした.【結果】後出血は21回(2.2%)でみられた.そのうち5回(24%)で輸血を必要とした.平均年齢は73.0歳,男女比は18:3.ESD後平均6.4日(2時間後~15日後.中央値は7日)後にみられた.20例は内視鏡的に止血され救命可能であったが,後出血を契機に急性心筋梗塞を起こして死亡した1例もみられた.後出血のリスク因子に関する検討では多変量解析の結果,「切除時間120分以上(P=0.0008)」のみが有意なリスク因子として挙げられた.【結論】今回の検討からは病変部位や基礎疾患の有無や抗凝固薬・抗血小板薬の内服は後出血のリスク因子にはならなかった.また切除に時間を要した症例では後出血に注意する必要があると思われた.後出血は,一般に退院していると思われる時期にも起こりうる偶発症であり,対処が遅れた場合や基礎疾患などによっては致命的になることもあるため,入院中のみでなく退院後も注意が必要であると思われた.
索引用語