セッション情報 口演

胃 ESD 2

タイトル O-228:

ESD後人工潰瘍に対するエソメプラゾール投与期間の検討

演者 小馬瀬 一樹(山梨大学第一内科)
共同演者 大高 雅彦(山梨大学第一内科), 吉田 貴史(山梨大学第一内科), 浅川 幸子(山梨大学第一内科), 末木 良太(山梨大学第一内科), 植竹 智義(山梨大学第一内科), 佐藤 公(山梨大学第一内科), 榎本 信幸(山梨大学第一内科)
抄録 【目的】ESD後人工潰瘍において酸分泌抑制薬を一般的な治療薬として用いているものの,その投与期間においては一定の見解は得られていない.PPIの2週間投与で潰瘍治癒率,有害事象発現率ともに8週間投与と比較し差を認めなかったという報告がある一方で,超大型の病変であったとしても4週目までに潰瘍面積が術直後の50%程度まで縮小することも確認されている.また,術後4週目の潰瘍の治癒率に対するPPIとH2RAの比較ではPPI群で有意であったという報告がされていることも踏まえると,より強力な胃酸分泌抑制下においては投与期間の短縮が実現可能であると考えられる.エソメプラゾールは新しいPPIで,従来のPPIに比し強力な胃酸分泌抑制効果を有することが海外における臨床報告で確認されている.今回ESD後人工潰瘍に対するエソメプラゾールの術後4週間投与における潰瘍治癒率を検討する.
【方法】2012年5月から当科で行ったESD症例のうち,NSAIDs,ステロイド,抗血小板薬,抗凝固薬を服用していなく,重度の合併症のない20歳以上の患者を対象とし,文書および口頭による十分な説明を行い自由意思による研究参加の同意を文書で得た患者9例.ESD後人工潰瘍治療薬として,切除後3日間はオメプラゾール(20mg,1日2回)を静脈内注射し,その後4週間エソメプラゾール20mgを経口投与した.エソメプラゾール投与4週後に内視鏡的な潰瘍面積の縮小率(潰瘍治癒率)を検討した.本研究は当院倫理委員会の承認を得て行っている.
【結果】対象患者の背景は,年齢中央値は73歳(69-82),男性7例女性2例で,切除面積中央値は1099mm2(550-1590),ESD適応内病変3例,ESD適応拡大病変6例であった.エソメプラゾール投与4週後の潰瘍治癒率中央値は98.8%(80-99.9)であった.ESD後合併症,投薬による有害事象はいずれも認められなかった.
【結論】ESD後人工潰瘍に対するエソメプラゾールの術後4週間投与における潰瘍治癒率は非常に高いものであった.
索引用語