セッション情報 口演

胃 ESD 2

タイトル O-229:

ESD後瘢痕部隆起に関する検討

演者 森畠 康策(和歌山県立医科大学第二内科)
共同演者 井口 幹崇(和歌山県立医科大学第二内科), 出口 久暢(和歌山県立医科大学第二内科), 深津 和弘(和歌山県立医科大学第二内科), 森 良幸(和歌山県立医科大学第二内科), 前田 義政(和歌山県立医科大学第二内科), 新垣 直樹(和歌山県立医科大学第二内科), 上田 和樹(和歌山県立医科大学第二内科), 井上 泉(和歌山県立医科大学第二内科), 前北 隆雄(和歌山県立医科大学第二内科), 玉井 秀幸(和歌山県立医科大学第二内科), 加藤 順(和歌山県立医科大学第二内科), 一瀬 雅夫(和歌山県立医科大学第二内科)
抄録 【背景】胃腫瘍性病変に対する内視鏡治療後の潰瘍瘢痕部に隆起性肉芽を形成すること(以下,瘢痕部隆起)はしばしば経験する.しかし,瘢痕部隆起は治療後潰瘍の瘢痕化直後に一時的な隆起をきたすものの平坦化していくことも多い.瘢痕部隆起が消失しない場合,原疾患の再発との鑑別を要することがあり,今回演者らは,この瘢痕部隆起に関する背景因子についてレトロスペクティブに検討した.【対象と方法】2002年2月から2011年6月まで,胃腫瘍性病変に対してESDを当科で施行した575病変中,適応拡大病変内で,切除断端が陰性かつ1年以上内視鏡で経過を追えた258症例358病変を対象とした(男性197例,女性61例.平均年齢69.2±9.3(42-89)歳).内視鏡治療後1年以降に治療後の潰瘍瘢痕部に隆起を形成した場合を瘢痕部隆起と定義した.【結果】ESD後,瘢痕部隆起を認めた頻度は17病変(4.7%)であった.瘢痕部隆起は全てL領域に認めた.切除標本の大きさ,ESD施行2カ月後以降の長期制酸剤(PPIもしくはH2blocker)の使用,ヘリコバクターピロリ菌の除菌の有無については,有意差を認めなかった.また,瘢痕部隆起が増大したためEMRを行い,その後,肉芽予防に効果があるとされるプロマックの内服を継続していたにもかかわらず,再度瘢痕部隆起となった症例が1例あった.【結論】切除病変が適応拡大内で切除断端が陰性の下で,内視鏡治療後の瘢痕部隆起を引き起こす因子として,酸分泌の状態や薬剤の影響よりも病変の位置がL領域であることが強い因子であると考えられた.また,瘢痕部隆起に対し内視鏡的切除を行ったとしても,再発する可能性がある.
索引用語