セッション情報 口演

胃 ESD 3

タイトル O-230:

高齢者の早期胃癌に対するESDの意義―長期予後の検討から

演者 石井 英治(亀田総合病院消化器内科)
共同演者 伊藤 裕志(亀田総合病院消化器内科), 藤井 宏行(亀田総合病院消化器内科), 平井 満(亀田総合病院消化器内科), 角 一弥(亀田総合病院消化器内科), 小林 正佳(亀田総合病院消化器内科), 白鳥 俊康(亀田総合病院消化器内科), 岩田 麻衣子(亀田総合病院消化器内科), 山内 健司(亀田総合病院消化器内科), 土屋 寧子(亀田総合病院消化器内科)
抄録 【背景】早期胃癌は無治療でも60%の5年生存率を有するといわれており*,高齢者の早期胃癌治療がはたして予後延長に寄与しているかははなはだ疑問である.【目的】高齢者における早期胃癌ESDの短期,長期成績を解析することにより高齢者に対するESDの意義を検討する.【対象】2003年5月から2012年9月までに胃ESDを施行された1087例中,ESD後5年以上経過した191症例209病変を対象とした.予後追跡率は99%,経過観察期間は中央値70ヶ月.年齢で以下の2群に分け,治療成績,予後を検討した.A群:75歳未満:120例131病変.B群:75歳以上:71例80病変.[患者背景]:男/女(A群:95/25,B群:55/16),適応(ガイドライン内/適応拡大/適応外):(A群:8/33/10,B群:41/26/13,p=0.04)異時性他臓器癌:(A群:21%(25/120),B群:34%(24/71),p=0.036),非治癒切除で手術を受けた率:(A群;40%(4/10),B群:31%(4/13)).[短期成績]:一括切除:(A群:116/131:89%,B群:70/80:88%),偶発症:(A群:穿孔10/131:8%,後出血1/131:0.8%,緊急手術1/131:0.8%.B群:穿孔9/80 11%,後出血7/80 9%,p=0.0052,緊急手術0/80:0%).[長期成績].A群,B群ともに遠隔再発:0%,5年生存率:A群:90%,B群:79%(p=0.0007).【考察】2群において切除率に差はなく,高齢者群でも安全性には問題ないと考える.胃癌死両郡で認めず.overallの5年生存率に有意差はあるもののB群でも79%であり,これは早期胃癌が無治療経過観察された場合の5年生存率(60%)と比べ高率である.【limitation】本検討は後ろ向き検討でありそもそも予後が見込めないとの判断でESDを施行していない早期胃癌症例は除外されているため,この結果をすべての高齢者に当てはめ一般化することは困難である.【結語】高齢者といえども早期胃癌治療後に79%の5年生存率があり,ESDを行う意義はあると思われる.(*津熊ら,胃と腸43(12)1777-1783)
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