セッション情報 口演

胃 ESD 3

タイトル O-231:

当院における高齢者胃ESD症例の特徴

演者 鶴岡 ななえ(唐津赤十字病院内科)
共同演者 伊東 陽一郎(唐津赤十字病院内科), 野田 隆博(唐津赤十字病院内科)
抄録 【はじめに】早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(以下ESD)は普及し,高齢者において施行される割合も増加している.当院においても胃ESDを受ける患者の平均年齢は74歳であり,高齢者の割合が多い.今回,当院における高齢者胃ESD症例について特徴を明らかにし,若干の文献的考察を加え発表する.【対象】2007年12月から2012年6月までの期間,当院で胃ESDを施行した早期胃癌195症例(M:F 146:49)を対象とし,74歳未満を非高齢者・75歳以上を高齢者と2群に分け,比較検討した.【結果】非高齢者群は91例(M:F 63:28),高齢者群104例(M:F 83:21)であり,高齢者群において男性がやや高い傾向にあった.非高齢者では54.9%,高齢者では70.2%の患者において基礎疾患を認めていた.また,抗凝固剤併用に関しては,非高齢者では11例(12.1%)であったが高齢者では21例(20.2%)と多かった.しかし,ESD後合併症に関しては,非高齢者では15例(16.5%)に認めたものの,高齢者においては10例(9.6%)と少なく,その内訳は術後出血が最多で誤嚥性肺炎が次に続いた.しかし,合併症による死亡はいずれにおいても認めなかった.非高齢者において同時多発病変は9例,異時多発病変は19例であり,高齢者においてはそれぞれ9例,16例とあまり違いは認めなかった.また,非高齢者での非治癒切除例は12例認めたが,1例を除き追加外科手術が行われた.一方で高齢者における非治癒切除例は11例認め,追加外科手術が行われたのはわずか1例のみであった.【結語】高齢者においては基礎疾患の合併が多く,また抗凝固剤併用が多いにもかかわらず,実際の胃ESDでの合併症は少ない傾向にあり,安全に胃ESDが行われている現状が明らかとなった.また,非治癒切除例に対して,高齢者においては追加外科手術を選択しないことが多く,フォローの間隔や方法については今後の課題であると考えられた.
索引用語