セッション情報 口演

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タイトル O-238:

EUS-FNAと造影CTによる病理組織分類に基づいた膵神経内分泌腫瘍に対する治療戦略

演者 堀口 繁(岡山大学病院消化器肝臓内科)
共同演者 加藤 博也(岡山大学病院消化器肝臓内科), 榊原 一郎(岡山大学病院消化器肝臓内科), 野間 康宏(岡山大学病院消化器肝臓内科), 山本 直樹(岡山大学病院消化器肝臓内科), 原田 亮(岡山大学病院消化器肝臓内科), 堤 康一郎(岡山大学病院消化器肝臓内科), 田中 健大(岡山大学病院病理部), 八木 孝仁(岡山大学病院肝胆膵外科), 岡田 裕之(岡山大学病院光学医療診療部), 山本 和秀(岡山大学病院消化器肝臓内科)
抄録 【目的】膵神経内分泌腫瘍は手術可能例では予後良好であるが,根治手術不能例では予後不良である.切除不能例では治療選択において病理組織分類(Grading)が極めて重要であるがGrade診断が困難な場合も少なくない.EUS-FNAと造影CTがGrade予測に有用であると考えられたため報告する.【方法】当院で2004年4月から2012年8月に診断治療を行った膵内分泌腫瘍のうち,EUS-FNA施行22例と造影CT施行28例を用いた.病理組織はWHO2010に準じ再評価した.造影CTは同一のプロトコールで行い動脈相にて評価した.造影効果の指標として病変充実部CT値を周囲正常膵CT値で除した値(CT値比)を用いた.【成績】FNA施行例(G1 11例,G2 7例,G3 4例)のうち19例(86%)が神経内分泌腫瘍と診断された.19例の内訳はG1 10例,G2 5例,G3 4例といずれのGradeでも診断能は高かった.Gradeまで評価できたものは7例でありG1 3例,G2 1例,G3 3例とG1,G2ではG3に比べて診断率が低い傾向にあった(p=0.075).造影CT(G1 16例,G2 7例,G3 5例)において神経内分泌腫瘍を積極的に疑ったものは14例とCT単独での診断能は低かったがCT値比とGradeの関係を検討すると低分化でCT値比が有意に低下した(G1 G2 vs G3 p=0.003).EUS-FNAで神経内分泌腫瘍と診断され造影CTを施行した16例でCT値比のcut off値を0.75とするとCT値比によるGrade予測は感度100%,特異度85%,正診率88%であった(p=0.0044).【結論】神経内分泌腫瘍の診断はEUS-FNAが有用であるが単独ではGrade診断能が低い.CTは神経内分泌腫瘍の診断能は低いがCT値比にはGrade分類との有意な相関関係が認められた.EUS-FNAで神経内分泌腫瘍と診断しCT値比を付加することでGradeを高い正診率で予測でき治療戦略上極めて有用であることが考えられた.
索引用語