セッション情報 口演

NET 他

タイトル O-239:

当科における原発不明腺癌症例の検討

演者 高須 充子(杏林大学腫瘍内科)
共同演者 春日 章良(杏林大学腫瘍内科), 北村 浩(杏林大学腫瘍内科), 成毛 大輔(杏林大学腫瘍内科), 有馬 志穂(杏林大学腫瘍内科), 長島 文夫(杏林大学腫瘍内科), 古瀬 純司(杏林大学腫瘍内科)
抄録 <目的>原発不明癌は標準的な治療法は確立されておらず,臨床現場ではプラチナ+タキサン系薬剤併用療法(CBDCA/PTX)が汎用されているが予後は不良である.当科にて経験した原発不明癌の臨床,組織学的特徴と治療成績を後方視的に明らかにする.<方法>2008年4月より2012年9月現在までに当科で治療を行った原発不明癌11例を対象とし,その発症時年齢,転移部位,生検組織型,一次治療内容,無増悪生存期間,全生存期間を調べた.さらに生検組織の免疫染色の結果を見直した.<結果>11例の発症時平均年令は56才(31-72才),発症時転移部位は横隔膜上(頚部,縦隔リンパ節)など5例,横隔膜下(肝,腹膜,大腿骨など)4例,両側2例であり,組織型は腺癌6例,扁平上皮癌2例,神経内分泌腫瘍1例,上皮癌1例,未分化癌1例であった.一次治療はCBDCA/PTX9例,5-FU/CDDP2例であり,11例の一次治療の無増悪生存期間中央値(PFS)は134日(44-339日),全生存期間中央値(MST)は243日(99-516日)であった.レジメンによるMSTの差は未評価であり,転移部位による差は横隔膜上,横隔膜下,両側でPFSが各々167日,108日,116日であり横隔膜上がやや良好な傾向であった.免疫染色の結果乳腺由来の可能性が示唆されたもの,消化管由来の可能性が示唆されたもの,副腎皮質癌が示唆されたものが各1例存在した.<考察>一般的に原発不明癌の予後は7-10ヵ月と報告されており,主にCBDCA/PTXを一次治療に用いた当施設での治療成績もほぼ同等であり,良好とはいえなかった.<結語>原発不明癌の予後を改善するには,転移部位や腫瘍マーカー,組織型,組織の免疫染色の結果から可能な限り由来臓器を推定し,より効果の期待できる治療法の選択を検討する必要がある.
索引用語