セッション情報 | 口演小腸 IBD 1 |
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タイトル | O-251:クローン病患者に対する小腸内視鏡を用いた経過観察の必要性 |
演者 | 齊藤 景子(千葉大学消化器内科) |
共同演者 | 勝野 達郎(千葉大学消化器内科), 佐塚 小百合(千葉大学消化器内科), 中川 倫夫(千葉大学消化器内科), 丸岡 大介(千葉大学消化器内科), 松村 倫明(千葉大学消化器内科), 新井 誠人(千葉大学消化器内科), 横須賀 收(千葉大学消化器内科) |
抄録 | 【目的】クローン病(CD)患者において初期病変の検出,小腸病変の活動性や病変範囲の把握,治療効果判定,外科手術回避のために小腸内視鏡検査が有用とされている.しかし,実際は患者に対する身体的な負担が大きく,敬遠されることも少なくない.今回,CD患者に対する小腸内視鏡を用いた経過観察の必要性について検討した. 【方法】CDの経過観察目的に2008年1月から2012年7月に当院で小腸内視鏡を2回以上施行した14患者46例において,内視鏡検査後に治療を強化した群(治療強化群),治療無変更群の2群にわけ,臨床症状(Harvey-Bradshaw index:HBI),内視鏡所見(Simple endoscopic score for Chohn’s disease:SES-CD),血液検査等について後向きに検討した.また,活動性病変の評価のためSES-CDの4項目のうち,潰瘍面積,潰瘍の大きさ,狭窄の有無の3項目のみのスコアをpartial SES-CD(pSES-CD)と定義した. 【結果】46例においてSES-CD,pSES-CDともにHBIと相関を認めなかった.一方,pSES-CDと血清ALB値は負の相関,CRP,白血球数は正の相関を認めた.6ヶ月以上の間隔をあけて粘膜所見を比較できた31例のうち,13例は治療強化群,18例は治療無変更群であった.両群間で介入前のSES-CDに有意差は認めなかったが,pSES-CD,HBIに有意差を認めた.治療無変更群と比較して治療強化群においてpSES-CD,HBIが有意に低下した. 【結論】CD患者において,臨床症状と内視鏡所見は必ずしも一致しておらず,臨床症状が軽度であっても小腸内視鏡での粘膜所見の評価が必要と考えられた.また,活動性の内視鏡所見は血清ALB,CRP,白血球数と相関しており,これらの変動があった際は早期に内視鏡検査を行い,治療強化等の介入をすることは自覚症状,粘膜所見を改善し,手術回避や予後改善のために有用であることが示唆された. |
索引用語 |