セッション情報 口演

小腸 IBD 2

タイトル O-253:

クローン病におけるインフリキシマブからアダリムマブへのスイッチ療法について

演者 古賀 章浩(福岡大学筑紫病院消化器内科)
共同演者 矢野 豊(福岡大学筑紫病院IBDセンター), 高木 靖寛(福岡大学筑紫病院消化器内科), 平井 郁仁(福岡大学筑紫病院IBDセンター), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院IBDセンター)
抄録 【背景・目的】クローン病(CD)の治療は,インフリキシマブ(IFX)の登場により寛解・導入に効果を上げているが,一定の割合で不耐および効果減弱が出現する.最近IFXで寛解維持の継続困難症例に対し,アダリムマブ(ADA)へスイッチが可能になったが,多数例での検討は少ないのが現状である.そのため当科におけるIFXからADAにスイッチを行った症例に関しての臨床的な特徴を明らかにすることを目的とした.【対象・方法】2010年11月から2012年5月までにIFX不耐・効果減弱に対しADAにスイッチしたCD患者32例を対象とし臨床背景と有効性を検討した.【結果】ADAスイッチ32例の内訳は男性18例,女性14例,平均年齢36.7歳,平均罹病期間16.0年,平均IFX投与期間33.7カ月,IFX効果減弱22例,IFX不耐10例であった.(1)-1 IFX不耐10例の不耐理由は投与時反応を認めたものが4例,掌蹠膿疱症,呼吸器感染症,好中球減少,紫斑,脱毛,亜イレウスを各1例ずつ認めた.(1)-2 ADAへのスイッチが可能であったものは8例80%で,ADAスイッチ後不耐で中止となったものは2例20%であった.ADA不耐理由はIFX不耐と同様で紫斑と脱毛が各1例であった.(2)-1 IFX効果減弱22例のうちADA継続可能であったものは14例63.6%(平均観察期間12.5ヶ月),ADA中止となったものは8例36.4%であった.(3)-1 ADAスイッチ症例の平均CDAIではADA導入時:255,8週:141,24週:137であった.平均CRP値(mg/dl)の推移はADA導入時:2.2,8週:1.2,24週:0.6であった.いずれも24週の値は導入時と比較し有意に低下していた(P<0.01).【結論】IFX不耐では80%の症例でADAへのスイッチ投与が可能であり,効果減弱例でも60%以上の症例で平均1年以上維持投与可能であった.また,ADAへのスイッチにより臨床活動指数も有意に低下した.以上からADAへのスイッチは有効であると考えられる.
索引用語