セッション情報 口演

小腸 IBD 2

タイトル O-254:

当院でアダリムマブを導入したクローン病患者の臨床経過についての検討

演者 平山 裕(名古屋大学消化器内科学)
共同演者 安藤 貴文(名古屋大学消化器内科学), 石黒 和博(名古屋大学消化器内科学), 前田 修(名古屋大学消化器内科学), 渡辺 修(名古屋大学消化器内科学), 氏原 正樹(名古屋大学消化器内科学), 前田 啓子(名古屋大学消化器内科学), 森瀬 和宏(名古屋大学消化器内科学), 松下 正伸(名古屋大学消化器内科学), 舩坂 好平(名古屋大学消化器内科学), 中村 正直(名古屋大学消化器内科学), 宮原 良二(名古屋大学消化器内科学), 大宮 直木(名古屋大学消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大学消化器内科学)
抄録 【目的】Infliximab(IFX)の登場により,クローン病(CD)の治療目標は粘膜治癒へと変化した.しかしながら抗IFX抗体の産生,infusion reaction(IR)等によりIFXによる治療継続困難例も増加している.2010年に本邦でヒト型抗TNF-α抗体であるAdalimumab(ADA)が認可された.ADAは利便性やヒト型抗体であることから効果が期待されているが,適切な使用法に関しては議論されている.今回ADAの適切な使用法を明らかにすることを目的に当院でADAを導入したCD患者の臨床経過の検討を行った.【方法】2012年6月までに当院でADAを導入されたCD患者38名(男31名,女7名)を対象に患者背景,血液検査,内視鏡所見について有効例(n=23)・無効例(n=15,投与中CRP陰転化ができなかった又は陽転化した症例+中止例と定義)につきretrospectiveな解析を行った.【結果】患者背景は,CD発症時年齢:26.0±11.1歳,ADA導入時年齢:36.0±10.6歳,平均罹病期間:10.9年,罹患範囲:小腸大腸型24例,小腸型11例,大腸型3例,IFX使用歴:27例(うち18例がIR等の副作用のためADAに変更),平均手術回数:1.69回,治療歴:5-ASA全例使用,成分栄養剤36例(94.7%),免疫調節薬18例(47.4%),ステロイド剤12例(31.6%)であった.導入時CRP値によりA群(CRP<0.3mg/dL),B群(0.3<CRP<1.0mg/dL),C群(CRP>1.0mg/dL)とすると,A群(n=23):有効15例(65.2%,p<0.05),無効8例,B群(n=7):有効2例,無効5例,C群(n=8):有効2例,無効6例であった.次にADA導入前にダブルバルーン内視鏡検査が施行された31例を対象に潰瘍・scopeの通過しない狭窄の有無について検討を行った.有効例(n=19)では潰瘍:8例,狭窄:3例,無効例(n=12)では潰瘍:8例,狭窄:10例(83.3%,p<0.05)であった.【結論】ADAの導入に際してはCRPの陰性化を図ること,狭窄のない状態で導入することが重要であると考えられた.
索引用語