セッション情報 口演

小腸 IBD 2

タイトル O-256:

FCGR3A遺伝子多型とInfliximabの治療効果の相関から考えるクローン病の基本病態

演者 諸井 林太郎(東北大学消化器病態学分野)
共同演者 遠藤 克哉(東北大学消化器病態学分野), 木内 喜孝(東北大学消化器病態学分野), 只野 敏浩(東北大学消化器病態学分野), 川上 瑶子(東北大学消化器病態学分野), 奈良 志博(東北大学消化器病態学分野), 松下 勝則(東北大学消化器病態学分野), 宮澤 輝子(東北大学消化器病態学分野), 下平 陽介(東北大学消化器病態学分野), 長澤 仁嗣(東北大学消化器病態学分野), 志賀 永嗣(東北大学消化器病態学分野), 根来 健一(東北大学消化器病態学分野), 相原 裕之(東北大学消化器病態学分野), 高橋 成一(東北大学消化器病態学分野), 下瀬川 徹(東北大学消化器病態学分野)
抄録 背景・目的:クローン病(CD)および関節リウマチ(RA)において,Infliximab(IFX)の治療効果とFCGR3A-158V/F遺伝子多型との相関が報告されている.しかし,治療効果を増強するalleleは両疾患で逆転しており,相関を示すメカニズムも解明されていない.今回我々は,日本人CDにおけるIFX治療効果とFCGR3A-158遺伝子多型との相関を確認し,相関を示すメカニズムをin vitroで解析した.本研究の結果から,IFXの作用機序およびCDの基本的病態について考察を行った.方法:IFXを投与した日本人CD102名を対象に,投与8・30週後の治療効果(CDAI,CRPを指標とした)とFCGR3A-158遺伝子多型との相関を後ろ向きに解析した.次にNK細胞とIFXの親和性,IFXによるantibody-dependent cell-mediated cytotoxity(ADCC)誘導の程度について,FCGR3A-158遺伝子多型による違いをiv vitroで解析した.結果:IFX投与8週後の治療効果(CRP)はgenotype V/Vの患者群でV/FやF/Fに比し,有意に高かった.genotype V/V由来のNK細胞はF/Fに比しIFXに対する親和性が高く,genotype V/V由来のPBMCsはF/Fに比し高率にADCCを誘導した.考察:RAではIFXのクリアランスが低く,より多くのTNFαを中和できるFCGR3A-158F/Fの治療効果が高いとされる.よって,RAでは血中の遊離TNFαが病態に強く関与し,血中TNFαの中和が重要と考えられる.一方,CDではADCCをより高率に誘導するFCGR3A-158V/VでIFXの治療効果が高い.このことから,CDではTNFα発現細胞が病態形成に強く関与しており,治療目標としてTNFα発現細胞の除去が重要と考えられる.
索引用語