セッション情報 |
口演
胃・十二指腸 他
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タイトル |
O-261:DPCデータからみた胃瘻・腸瘻造設術の疫学
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演者 |
酒匂 赤人(国立国際医療研究センター国府台病院総合内科) |
共同演者 |
康永 秀生(東京大学大学院医学系研究科医療経営政策学), 堀口 裕正(東京大学大学院医学系研究科医療経営政策学), 柳内 秀勝(国立国際医療研究センター国府台病院総合内科), 上村 直実(国立国際医療研究センター国府台病院消化器科) |
抄録 |
【目的】経皮内視鏡的胃瘻造設術を中心とする胃瘻・腸瘻造設術は幅広く行われており,近年高齢者への人工栄養の是非について社会での関心が高まっているが,その実態に関する全国規模のデータは不十分である.厚生労働科学研究DPCデータ調査研究班データベースを用いて本邦での胃瘻・腸瘻造設術に関する患者背景,実施状況,転帰を明らかにする.【方法】2007年から2010年の各年7月31日から12月31日にDPC病院を退院した各年約300万件の症例から入院中に胃瘻・腸瘻造設術が行われた患者を抽出した.胃瘻・腸瘻の交換は対象とはしなかった.またDPCデータに含まれる患者の年齢,性別,病名,退院時転帰について集計した.全国の一般病院とDPC病院の退院患者数の比のデータを用いて,本邦での胃瘻・腸瘻の年間造設件数を推計した.【結果】調査期間中に64219件の胃瘻・腸瘻造設術症例を認めた.男性が51.8%を占め,造設時の年齢の中央値は男性が77歳,女性が83歳であった.80歳以上が52.3%を占め,39歳以下は2.3%であった.登録された病名の内訳は,脳血管障害41.7%,肺炎44.8%(うち誤嚥性肺炎30.8%),癌16.7%(うち食道または頭頸部癌7.3%),神経筋疾患14.3%,認知症13.4%,糖尿病13.0%,褥瘡6.1%であった.39歳以下では,てんかん33.2%,脳性麻痺20.9%であった.入院から造設まで,造設から退院までの日数の中央値はいずれも22日であった.死亡退院は11.9%,自宅退院31.8%,他病院や介護施設への転院・退院は56.3%であった.本邦における胃瘻・腸瘻造設術の年間件数は6万2千から8万3千件と推計された.【結論】本邦における胃瘻・腸瘻造設術の対象者は80歳以上がその過半数を占め,基礎疾患としては肺炎と脳血管障害が多く,在院死亡率は11.9%であった.本研究は高齢者への人工栄養の是非に関する議論に役立つ基礎データを提供するものと考える. |
索引用語 |
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