セッション情報 口演

胃・十二指腸 他

タイトル O-262:

魚介類摂取後に発症した蕁麻疹患者のアニサキスとの関連性についての検討

演者 乗田 一明(気仙沼市立病院消化器科・内科)
共同演者 星 達也(気仙沼市立病院消化器科・内科), 鵜浦 友輔(気仙沼市立病院消化器科・内科), 小笠原 弘之(気仙沼市立病院消化器科・内科), 石橋 信之(気仙沼市立病院消化器科・内科), 小松 正歩(気仙沼市立病院消化器科・内科), 涌井 祐太(気仙沼市立病院消化器科・内科), 菅田 英明(気仙沼市立病院消化器科・内科), 笠沼 勇一(気仙沼市立病院消化器科・内科), 安海 清(気仙沼市立病院消化器科・内科)
抄録 【背景】当院が位置する三陸沿岸は日本有数の漁場として知られ,魚介類の生食が盛んである事から,腹痛の原因としてアニサキス症の頻度が比較的高い.腹痛の発症機序としてはI型アレルギーの関与が報告されており,蕁麻疹の合併例も多数報告されている.【目的】検索し得た限りにおいて蕁麻疹とアニサキス症の関連についての検討はほとんどない.今回,我々は当院にて魚介類摂取後に蕁麻疹を発症した患者に対し上部消化管内視鏡検査を施行し,虫体を確認したアニサキス症例数を検討することで両疾患の関連性について考察する.【方法】2010年8月25日から2012年8月24日までの2年間で,魚介類摂取後に蕁麻疹を発症し,来院日を含め4日以内に上部消化管内視鏡検査を施行した患者13名(平均年齢56.3歳,男女比7:6)を対象として,内視鏡下にアニサキス虫体を確認した症例と抗アニサキス抗体の陽性率について検討した.【結果】アニサキス虫体は7例で確認・除去され,陽性率は約54%であった.また,虫体が確認されなかった2例においても,アニサキスが刺入していたと思われる孤発性のびらん及び粘膜浮腫がみられた.13例中原因魚種はサンマ7例,イカ2例,タラ1例,カツオ1例,ヒラメ1例,複数魚種1例であった.抗アニサキス抗体は12例中9例で陽性であり,陽性率は75%であった.腹部症状がみられたのは5例に留まり,いずれも軽い症状であったが,このうちアニサキス虫体が確認されたのは3例であった.【考察】一般にアニサキス症では激しい腹痛が主訴となることが多いとされるが,今回の検討では,腹部症状がないかごく軽度であるにもかかわらず高率にアニサキス虫体が内視鏡下に確認された.魚介類摂取後の蕁麻疹発症例に関しては腹部症状の有無に関わらず,アニサキスが原因となっていることを念頭に置いて診療を進めていく必要がある可能性があることが示唆された.
索引用語