セッション情報 | 口演胃・十二指腸 他 |
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タイトル | O-263:好酸球性食道炎および好酸球性胃腸炎患者における特異的IgE抗体測定の意義 |
演者 | 石村 典久(島根大学医学部第二内科) |
共同演者 | 古田 賢司(島根大学医学部第二内科), 佐藤 秀一(島根大学医学部第二内科), 石原 俊治(島根大学医学部第二内科), 木下 芳一(島根大学医学部第二内科) |
抄録 | 【目的】好酸球性食道炎(EoE)及び好酸球性胃腸炎(EGE)の病態には食事や吸入抗原に対するアレルギーが関与し,特にEoEでは6種(牛乳,小麦,大豆,卵,ナッツ,魚介類)除去食による治療が有効なことが示されている.一方,EGEにおけるアレルゲンの関与は十分検討されていない.今回,本邦におけるEoE及びEGEの病態に特定のアレルゲンが関与しているか否かを明らかにする目的で以下の検討を行った. 【方法】厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業としてEoE及びEGEの全国疫学調査を行ったが,この際登録されたEoE18例,EGE23例を対象とした.保存血清を用いて血中総IgE抗体価および主要なアレルゲン33種類に対する特異的IgE抗体を測定(MAST33★)し,両疾患群の臨床的特徴との関連を検討した.アレルギー疾患既往のない健常成人28例をコントロール群とした. 【結果】EoE群の27.8%,EGE群の69.6%にアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の合併を認めた.血中総IgE抗体価は有意にEGEで上昇例が多くみられた.MAST33★では疾患群,コントロール群ともに2/3の症例で1つ以上のアレルゲンに対して陽性を示した.しかし陽性数はコントロール群で2.3±0.6,EoE群で4.2±1.1,EGE群で5.8±1.4とEGE群で有意に陽性アレルゲン数が多かった.陽性例は食事抗原よりも吸入抗原に多く認め,スギが最も陽性率が高かったが,主要6種の食事抗原を含め,疾患群において特異的なアレルゲンは同定できなかった.また,陽性例と陰性例において臨床的特徴に差を認めなかった. 【結論】特異的IgE抗体の陽性率,平均クラス値共にEGE群で最も高い結果であったが,コントロール群においても約2/3で1つ以上のアレルゲンに対する抗体が陽性となり,疾患群に特異的なアレルゲンは同定できなかった.したがって,即時型アレルギーの指標であるIgEはEoE及びEGEの病態に直接的には関わっていないことが示唆された.また,本法による原因アレルゲンの同定には限界があると考えられた. |
索引用語 |