セッション情報 口演

大腸 高齢者1

タイトル O-265:

高齢者潰瘍性大腸炎の臨床的特徴

演者 山本 章二朗(宮崎大学消化器血液内科)
共同演者 三池 忠(宮崎大学消化器血液内科), 柴田 直哉(いきめ大腸肛門外科内科), 上原 なつみ(宮崎大学消化器血液内科), 鈴木 翔(宮崎大学消化器血液内科), 竹田 幸子(宮崎大学消化器血液内科), 平田 昌子(宮崎大学消化器血液内科), 夏田 朱一郎(宮崎大学消化器血液内科), 日高 舞(宮崎大学消化器血液内科), 橋本 神奈(宮崎大学消化器血液内科), 山路 卓巳(宮崎大学消化器血液内科), 永山 学(宮崎大学消化器血液内科), 安倍 弘生(宮崎大学消化器血液内科), 柴田 みつみ(いきめ大腸肛門外科内科), 田原 良博(宮崎大学消化器血液内科), 下田 和哉(宮崎大学消化器血液内科)
抄録 【目的】近年,潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis:UC)の増加は著明であり,稀とされていた高齢者の症例に遭遇する機会が増えている.以前は,高齢者UCは比較的軽症で予後良好といわれていたが,最近では重症の高齢者例も散見され,一定の見解が得られていないのが現状である.今後も増加すると思われる高齢者UCの臨床像を明らかにすることは大切であり,今回その臨床像を検討した.【対象と方法】2007年1月から2012年8月までに当科,関連施設で治療を行い,詳細な検討が可能であったUCは231例で,そのうち,65歳以上の32例を対象とした.平均年齢:73.94歳(65~89歳),平均罹病期間:13.8年,性別はM:F=15:15,病変部位は全大腸炎型:左側大腸炎型:直腸炎型=17:12:3,臨床経過は初回発作型:再燃寛解型:慢性持続型=5:26:1で,治療内容,臨床経過などについて検討した.【結果】1.上記の観察期間中,臨床的に11例に再燃を認めたが,21例は寛解維持の状態であった.2.入院加療を要したのは,7例8回で,中等症:重症=5:3であった.3.入院治療を要した症例の治療前のCS所見は,Baron分類で3以上の症例が62.5%であった.4.インフリキシマブ(IFX)投与は4例,血球成分除去療法は2例に施行し,それぞれの寛解導入率は75%,50%であった.6.IFXを投与した4例中,2例で有害事象を認め,1例でIFXの維持投与を中止した.7.血球成分除去療法を施行した2例はいずれも経過中脱血不良となった.8.5-ASA不耐を示した割合は12.5%であった.【結語】高齢者潰瘍性大腸炎の多くは経過良好であるが,再燃時に症状は中等度,内視鏡的に強度を示す症例が多く,症状と内視鏡所見の解離があった.また治療において有害事象などの問題点が生じる頻度が高く,このような点に注意し,診療に当たる必要があると思われた.
索引用語