セッション情報 口演

大腸 高齢者2

タイトル O-270:

76歳以上の後期高齢者切除不能大腸がん患者においても若年者と同様,5FU系+オキサリプラチン±Bevacizumabは安全に投与できる

演者 杉本 直俊(大阪府立成人病センター臨床腫瘍科)
共同演者 吉波 哲大(大阪府立成人病センター臨床腫瘍科), 山本 幸子(大阪府立成人病センター臨床腫瘍科), 屋木 敏也(大阪府立成人病センター臨床腫瘍科), 今村 文生(大阪府立成人病センター臨床腫瘍科), 飯石 浩康(大阪府立成人病センター消化管内科)
抄録 [背景]高齢化社会により,76歳以上の後期高齢者における進行・再発大腸がん患者数も増加傾向にある.切除不能・再発大腸がんに対する標準療法は,殺細胞性抗がん剤2剤併用(5FU系+オキサリプラチン(OHP)または5FU系+イリノテカン(CPT-11)±分子標的薬剤(Bevacizumab(Bev)または抗EGFR抗体:Kras野生型のみ))である.しかし高齢者には特有の問題(PS低下,臓器機能低下,内服コンプライアンスの低下など)により,若年者と同様にIntensive chemotherapyが行えるか,また行うメリットがあるか,については不明である.[目的・方法]当センターにて2008年4月から2011年9月までに76歳以上の切除不能・再発大腸がん患者のうち,一次治療として5FU系+オキサリプラチン(OHP)±Bevacizumab(Bev)併用療法を施行した11例(G群)を,同時期の75歳以下の患者54例(A群)を対象にその安全性及び有効性を検討した.[結果]患者背景:G群はPS0/1/=7/4,年齢中央値は77歳(76~81),性別は男/女 4/7,結腸/直腸は8/3,Kras野生型/変異型/未測定3/5/3.A群はPS0/1/=41/13,年齢中央値は65歳(33~75),性別は男/女 24/30,結腸/直腸は28/26,Kras野生型/変異型/未測定28/18/8.Bev併用例はG群:A群=55%:88%とG群で心血管系の合併症例が多く投与を控える例が目立った.RR,DCR,PFS,OSはG群:A群=55%:69%,81%:96%,9.8か月:10.2か月,25.5か月:31.8か月とG群はA群に比し遜色のない成績であった.Grade3以上の毒性は,好中球減少,貧血,手足症候群,感覚性神経障害がA群でそれぞれ26%,24%,6%,4%に見られたのに対しG群では1例も認めなかった.[結論]76歳以上の後期高齢者に対してもPS,臓器機能が温存されていれば5FU系+OHP併用療法は若年者と同様施行可能であった.また心血管系の合併症がなければ,若年者と同様Bev併用も安全に実施できた.
索引用語