セッション情報 口演

大腸 高齢者2

タイトル O-271:

高齢者がん薬物療法における高齢者機能評価の臨床開発

演者 北村 浩(杏林大学内科学腫瘍内科)
共同演者 長島 文夫(杏林大学内科学腫瘍内科), 有馬 志穂(杏林大学内科学腫瘍内科), 成毛 大輔(杏林大学内科学腫瘍内科), 春日 章良(杏林大学内科学腫瘍内科), 高須 充子(杏林大学内科学腫瘍内科), 古瀬 純司(杏林大学内科学腫瘍内科)
抄録 【目的】一般に前期高齢者のがん薬物療法では非高齢者と同様の治療が行われているのに対し,75歳以上の後期高齢者ではリスクの評価法が確立していない,治療レジメンの選択基準に乏しいなど診療上の課題がある.高齢者機能評価(Comprehensive Geriatric Assessment,以下CGA)は,加齢に伴うADLや認知機能,精神状態等を客観的に評価する尺度の総称であり,欧米のガイドラインでは高齢者がん治療において開始前の実施が推奨されている.我々は,担がん患者に特化したCancer-Specific Geriatric Assessment(以下CSGA)の日本語版を作成,その実施可能性試験を行っている(厚生労働省がん臨床研究事業).今回,(1)がん薬物療法を行う切除不能進行消化器がん患者において,治療前から経時的にCGAを実施できるかどうか,その実施可能性を検討した.(2)さらに,消化器がんで高リスク高齢者においてCSGAを治療前後で探索的に評価する臨床試験を準備しているので進捗状況を報告する.【方法】(1)がん薬物療法施行予定の患者(前期高齢者10名,後期高齢者11名)でCGAを行い,実施可能性を経時的に検討した.(2)後期高齢者でPS(Performance Status)0-2の切除不能進行がん患者を対象に,治療前にCSGAを実施する.【結果】消化器がん(大腸がん6名,胃がん3名,膵がん4名など計21名)でCGA実施は経時的に可能であり,治療開始時に認知機能低下や脆弱性が明らかになった症例も存在した.現在,大腸がん・胃がん・膵がんなどでCSGAを評価する前向き研究を企画し,患者登録中である.臨床試験の経過を併せて報告する.【結論】後期高齢者の消化器がんにおいてもCGAは経時的に評価可能であり,治療方針の決定に応用することが可能であると思われた.
索引用語