セッション情報 口演

胃・十二指腸 高齢者

タイトル O-274:

東京医療センターにおいての高齢者消化管出血による緊急止血術の施行状況と特徴

演者 中村 光康(独立行政法人国立病院機構東京医療センター消化器内科)
共同演者 日比 紀文(慶應義塾大学医学部消化器内科), 高橋 正彦(独立行政法人国立病院機構東京医療センター消化器内科), 高取 祐作(独立行政法人国立病院機構東京医療センター消化器内科), 佐藤 道子(独立行政法人国立病院機構東京医療センター消化器内科), 作野 隆(独立行政法人国立病院機構東京医療センター消化器内科), 木下 聡(独立行政法人国立病院機構東京医療センター消化器内科), 岩畔 慶太(独立行政法人国立病院機構東京医療センター消化器内科), 菊池 美穂(独立行政法人国立病院機構東京医療センター消化器内科), 西澤 俊宏(独立行政法人国立病院機構東京医療センター消化器内科), 藤山 洋(独立行政法人国立病院機構東京医療センター消化器内科), 金子 博(独立行政法人国立病院機構東京医療センター消化器内科), 箭頭 正徳(独立行政法人国立病院機構東京医療センター消化器内科), 鈴木 雅之(独立行政法人国立病院機構東京医療センター消化器内科)
抄録 【目的】当院は国立病院機構本部がある一方,3次救急を扱う世田谷区地区の地域医療の中核を担う施設である.今回当院における内視鏡止血術施行例を検討し,特に高齢者の上部消化管出血の特徴を明らかにする.【方法】当院における2008年1月から2012年7月まで上部消化管出血486例のうち緊急内視鏡による止血術を行った226例について患者背景,入院期間,輸血,HP感染の有無,服薬状況,止血方法などの項目で65歳以上(148例)と65歳未満(78例)にて比較検討を行った.【結果】対象は全体で男性140例,女性86例(男女比62%,38%)で平均年齢は69.7±14.1(24-95歳)であった.疾患別頻度は胃潰瘍193例,十二指腸潰瘍29例であった.65歳未満では男女比が(79.5%,20.5%),に対し65歳以上では男女ほぼ変わらず(52.7%,47.2%)で有意に差を認めた.(P<0.0001)入院期間は,65歳以上は17.6日であり65歳未満の10.1日に比し有意に長かった.(P=0.0020)輸血した症例は65歳以上では(68.5%)で65歳未満(49.4%)に比し有意に多かった.(P=0.0060)薬剤内服率は高齢者では46%の一方,若年者では18.4%で有意に高齢者に多かった.再出血例に関しては,65歳以上で15.1%,65歳未満で6.5%と65歳以上で多いものの有意差は認めなかった.HP検査については65歳未満での陽性率は70%で65歳以上は陽性が45%であるも未検査が32%であり高齢者で未検査率が高かった.止血方法は特に有意差なかった.多変量解析を行ったところ独立した因子は内服薬の有無,男女比,輸血の有無,(オッズ比4.16,3.36,2.12)であった.【結論】当院での高齢者上部消化管出血例では,若年者に比べ入院期間が長く,輸血例も多く,回復に時間がかかっており重症化する傾向にある.診療を慎重に行う必要がある.
索引用語