セッション情報 口演

胃・十二指腸 内視鏡治療

タイトル O-277:

上部消化管出血に対する緊急内視鏡的処置の必要性の予測におけるGlasgow Blatchford Score(GBS)の有用性

演者 永松 晋作(奈良県立奈良病院消化器内科)
共同演者 藤永 幸久(奈良県立奈良病院消化器内科), 関 建一郎(奈良県立奈良病院消化器内科), 才川 宗一郎(奈良県立奈良病院消化器内科), 澤田 保彦(奈良県立奈良病院消化器内科), 神戸 大介(奈良県立奈良病院消化器内科), 松尾 英城(奈良県立奈良病院消化器内科), 中谷 敏也(奈良県立奈良病院消化器内科), 菊池 英亮(奈良県立奈良病院消化器内科)
抄録 【目的】当院では24時間オンコール体制で消化管出血に積極的に対応しているが,一般的に内視鏡医師数が限られているなかで休日や夜間の緊急内視鏡検査・処置の必要性を判断することは重要である.内視鏡所見を有しない出血スコアであるGBSを用いて上部消化管出血に対する緊急処置の必要性および治療アウトカムの予測が可能かどうか検討した.【方法】2009年3月から2012年8月までに上部消化管出血が疑われ当科で緊急内視鏡検査を施行した266例(静脈瘤出血を除く)に対し,緊急処置の必要性の予測及びアウトカムとして輸血率,再出血率,入院日数につきレトロスペクティブに検討した.【結果】内訳は男性192例,女性74例,平均年齢は67.3歳,胃潰瘍91例,十二指腸潰瘍47例,逆流性食道炎21例,腫瘍30例,その他34例,出血源不明43例であった.基本的にForrest分類Ia Ib IIaを治療対象とし47.7%(127/266)に内視鏡的治療を施行した.治療必要群のGBS中央値は10,範囲は0-16,不要群のGBS中央値は6,範囲は0-16であった.Mann-Whitney U検定で両群間に有意差を認めた(P<0.0001)が,スコアの低い治療必要例,スコアの高い治療不要例が存在した.GBSのカットオフ値を9とした場合,感度62.2%,特異度71.2%であった.GBS 9以上は119例で輸血率56.3%(67/119),再出血率10.0%(12/119),入院日数の中央値は10.5日,GBS 9未満は147例で輸血率12.2%(18/147),再出血率2.0%(3/147),入院日数の中央値は9日であった.輸血率と再出血率はGBS 9以上の群とGBS 9未満の群との間に有意差を認めた(輸血率:p<0.0001,再出血率:p<0.0063)が,入院日数には差はなかった.【結論】GBSスコアにより緊急内視鏡的処置の必要性を判断することには限界があるが,治療アウトカムをある程度予測することは可能であると考えられた.
索引用語