セッション情報 口演

胃・十二指腸 内視鏡治療

タイトル O-279:

当院で内視鏡治療を行った十二指腸50病変の検討

演者 吉田 尚弘(石川県立中央病院消化器内科)
共同演者 山田 真也(石川県立中央病院消化器内科), 土山 寿志(石川県立中央病院消化器内科)
抄録 【目的】十二指腸病変に対する内視鏡治療についての知見は乏しい.当院での治療の現状を解析し,今後の治療方針の決定に寄与できることを目的とした.【方法】当院で2007年1月から2012年8月までに内視鏡的治療を行った十二指腸の50病変(49症例)を対象とした.病変因子として,発生部位,肉眼型,病変長径,組織型を検討した.また短期治療成績として治療手技と,非乳頭病変に対して内視鏡単独で治療した44病変については一括切除率と偶発症の検討を行った.また長期治療成績として上皮性腫瘍病変(癌,非癌)の中で内視鏡による経過観察がなされた23病変での再発率を検討した.【結果】発生部位は球部:13病変,上十二指腸角:7病変,下行脚(乳頭以外):26病変,乳頭:4病変.肉眼型は隆起型:19病変,平坦型:28病変,陥凹型:3病変.病変長径は1cm未満:24病変,1cm以上2cm未満:16病変,2cm以上:10病変.組織型は癌:17病変,腺腫15病変,カルチノイド4病変,Brunnner腺過形成:6病変,その他の良性病変:8病変.治療手技はEMR/EP:40病変(乳頭4病変),ESD:8病変,腹腔鏡併用内視鏡治療:2病変.一括切除率は72.7%(31/44)であったが,手技別ではEMR:77.8%,ESD:50.0%であった.偶発症は術中穿孔:2例(4.5%),遅発性穿孔:3例(6.8%),後出血:1例(2.3%)であった.偶発症発生率を時期別に見ると2009年12月までは33.3%(4/12)であったが,2010年1月以降では6.3%(2/32)であった.また再発率は0%(0/23)であった.【考察】十二指腸病変に対する内視鏡治療は,2cm以下の病変が8割と多い割に一括切除率が低かった.しかし再発率が0%であったことからは分割切除が許容される病変が多数存在すると考えられ,それらについては今後の検討が必要である.また偶発症発生率は近年低下してきており,安全性の面での技術は安定してきていると考えられる.
索引用語