セッション情報 口演

FD

タイトル O-281:

糖尿病患者における腹部症状がQOLに及ぼす影響

演者 杵川 文彦(さぬき市民病院内科)
共同演者 井上 利彦(さぬき市民病院内科), 松田 和也(松田内科医院内科), 木田 裕子(さぬき市民病院内科), 中尾 克之(さぬき市民病院内科), 正木 勉(香川大学消化器・神経内科)
抄録 【目的】糖尿病(DM)患者では腹部の訴えが多く,それがQOLの低下とも関連している可能性がある.今回はDM患者の腹部症状とQOLの関係について検討するとともに,胃機能との関連についても検討を加えたので報告する.【方法】対象はDM教育入院患者51例.GSRSとSF-8を用いて腹部症状と健康関連QOLを定量的に評価した.ニプロ社製EGを用いて胃電図を記録し,normogastria(2.4-3.6cpm)の発生頻度,食事前後の電位の変化率(PR)について解析した.自律神経障害の指標としてCVRRを用いた.年齢,性,BMI,空腹時血糖,HbA1c,T-CH,インスリン使用の有無,DMの合併症の有無,罹病期間,健康関連QOL,胃機能と便秘症状との関連についてΧ2乗検定による単変量解析を行い,有意差の見られた項目についてロジスティック回帰分析による多変量解析を行った.便秘スコアは2以上の例を便秘症状ありとして検討した.【結果】SF-8のスコアは全項目において国民標準値より低値であった.GSRSのスコアは腹痛1.6±0.2,酸逆流1.3±0.1,消化不良1.7±0.1,便秘2.0±0.2,下痢1.6±0.1で便秘スコアが最も高値であった.そこで便秘症状に注目して解析した.単変量解析において,便秘症状は65歳以上(p=0.0007),BMI25未満(p=0.0197),罹病期間7年以上(p=0.0338),身体的サマリースコア(PCS)49.84未満(p=0.0002),精神的サマリースコア(MCS)50.09未満(p=0.0074),PR1.2未満(p=0.0388)と有意に関連していた.その他の項目は便秘症状との間に有意な関連性を認めなかった.多変量解析ではBMI25未満(95%信頼区間:1.1271-130.4197,p=0.0395),PCS49.84未満(95%信頼区間:2.1913-250.8430,p=0.0091),MCS50.09未満(95%信頼区間:1.3945-115.1785,p=0.0241),PR1.2未満(95%信頼区間:1.0227-5.3806,p=0.0204)が便秘症状と有意に関連していた.【結論】DM患者では便秘症状がQOLの低下と関連しており,食事に対する胃の反応の低下とも関連している可能性が示唆された.
索引用語