セッション情報 | 口演FD |
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タイトル | O-282:プライマリ・ケアにおける上腹部症状患者の治療実態 |
演者 | 塩田 星児(大分大学医学部総合診療部) |
共同演者 | 村上 和成(大分大学医学部総合診療部), 山本 恭子(大分大学医学部総合診療部), 吉岩 あおい(大分大学医学部総合診療部), 阿部 航(大分大学医学部総合診療部), 山内 美香(大分大学医学部総合診療部), 小川 竜(大分大学医学部総合診療部), 松成 修(大分大学医学部総合診療部), 水上 一弘(大分大学医学部総合診療部), 中川 善文(大分大学医学部総合診療部), 沖本 忠義(大分大学医学部総合診療部), 兒玉 雅明(大分大学医学部総合診療部), 藤岡 利生(大分大学医学部総合診療部) |
抄録 | 【目的】ピロリ菌感染率の低下に伴い,GERDをはじめとする酸関連疾患が増加している.本研究ではプライマリ・ケアにおける上腹部症状患者の治療実態を検討した. 【方法】2009年から2011年に上腹部症状で大分大学総合診療部を受診し,上部消化管内視鏡検査を施行されたものを対象とした.それらの患者に対し,年齢,性別,BMI,喫煙,飲酒,NSAIDs内服,胃薬内服状況を検討した.上腹部症状は上腹部症状関連QOL(gastrointestinal symptom rating scale;GSRS)で検討した.内視鏡所見では消化性潰瘍,逆流性食道炎,胃癌を有意な内視鏡所見とした.またGERD患者に対しPPIを処方し,4週間後の症状残存率をGerdQを用い検討した. 【結果】322名の上部消化管内視鏡検査を受けた患者のうち,PPIは20%,H2ブロッカーは7%,粘膜防御剤は7%のものが内服していた.PPI内服者64名のうち36名(56%)では酸逆流,腹痛,消化不良のいずれかの症状を有していた.特にPPI内服群はH2ブロッカー群,粘膜防御群と比較し,有意に酸逆流症状を多く認めた.さらにPPI内服群で酸逆流症状を訴えるものの75%は腹痛あるいは消化不良のスコアも3点以上であった.またPPI内服群で症状のある群とない群では,逆流性食道炎を含む器質的疾患の割合に差は認めなかった.33例のGERD患者に対するPPI処方では,内視鏡的逆流性食道炎患者よりもNERD患者で症状改善が乏しく,PPI治療4週間において,半数以上で週1回以上の症状を認めた. 【結語】PPI内服にもかかわらず,半数以上のものは上腹部症状を有していた.さらにそれらの患者は酸逆流症状を主に訴えるが,腹痛,消化不良の合併もある.またNERD患者の方がPPIの反応性は悪い.このようにPPI抵抗性GERDには機能性ディスペプシア(FD)を合併しているものやNERD患者が多くを占めると考えられ,消化管機能改善剤やさらに強力な酸分泌抑制剤が有効と考えられる. |
索引用語 |