セッション情報 口演

胃癌 基礎2

タイトル O-284:

グルコース連結クロリン,マンノース連結クロリンを用いた胃癌に対する光線力学的治療の基礎的検討

演者 林 則之(名古屋市立大学大学院医学研究科消化器代謝内科学)
共同演者 片岡 洋望(名古屋市立大学大学院医学研究科消化器代謝内科学), 田中 守(名古屋市立大学大学院医学研究科消化器代謝内科学), 海老 正秀(名古屋市立大学大学院医学研究科消化器代謝内科学), 溝下 勤(名古屋市立大学大学院医学研究科消化器代謝内科学), 森 義徳(名古屋市立大学大学院医学研究科消化器代謝内科学), 谷田 諭史(名古屋市立大学大学院医学研究科消化器代謝内科学), 神谷 武(名古屋市立大学大学院医学研究科消化器代謝内科学), 城 卓志(名古屋市立大学大学院医学研究科消化器代謝内科学)
抄録 【背景】癌細胞に特異的に集積する光感受性物質を投与し,特定波長のレーザー光を照射して癌細胞選択的に細胞死を誘導する治療法が光線力学的治療(PDT)である.Warburg効果からも知られるように,癌細胞はTCAサイクルではなく嫌気的解糖系を使用することから多くのグルコースを細胞内に取り込むことが知られ,この現象はPET-CTに応用されている.これまで我々は,光感受性物質のクロリン1分子に4分子のグルコースを結合させたグルコース連結クロリンが,第2世代のPDTの保険認可薬であるレザフィリンに比してきわめて高い癌細胞選択性,殺細胞効果を有することを報告してきた.今回我々はマンノースをクロリンに結合させたマンノース連結クロリンを共同開発し,そのPDT効果の基礎的検討を行った.【方法】1.ヒト胃癌細胞株MKN28,MKN45に光感受性物質であるクロリン,グルコース連結クロリン,マンノース連結クロリンを投与し,4時間後に650nmの赤色光線を16J/cm2照射し,50%殺細胞濃度(IC50)を比較検討した.2.MKN28,MKN45,ヒト正常線維芽細胞株であるWI38におけるグルコース受容体GLUT1の発現,およびマンノース受容体であるMR1,MR2の発現を,定量的RT-PCRを用いて比較検討した.【成績】1.胃癌細胞に対するPDT殺細胞効果はグルコース連結クロリンとマンノース連結クロリンにおいてはほぼ同様で,クロリン単体に比べると約30倍の殺細胞効果が認められた.2.グルコース受容体であるGLUT1は正常線維芽細胞WI38よりも胃癌細胞で約7-8倍の発現が見られた.マンノース受容体(MR1,MR2)の発現も胃癌細胞株に認められたが,その発現量はWI38よりも低い傾向が認められた.【結論】グルコース受容体とともにマンノース受容体の発現が胃癌細胞株に確認され,マンノース連結クロリンはグルコース連結クロリンと同様に高いPDT殺細胞効果を示した.
索引用語