セッション情報 口演

バレット食道

タイトル O-290:

逆流性食道炎患者の長期経過―特にSSBEの合併について―

演者 木村 聖路(国民健康保険三戸中央病院内科)
共同演者 田中 正則(弘前市立病院臨床検査科), 濱舘 貴徳(弘前大学大学院・消化器血液内科学), 福田 真作(弘前大学大学院・消化器血液内科学)
抄録 【目的】バレット食道は逆流性食道炎の合併症として重要だが,その発生や併存の状態について長期的に検討した報告は少ない.今回逆流性食道炎患者の内視鏡像の長期経過について検討を加えた.【方法】LA分類grade A以上の逆流性食道炎を指摘し,その内視鏡所見の長期経過を観察しえた263例について検討した.食道炎の初回重症度,長期経過とその観察期間に加え,SSBEの初回併存率,期間内発生率とその観察期間,形状別頻度,伸展率,癌化率について検討した.【成績】平均年齢66.5歳,男女比1.1:1,検査回数3.8回,観察期間51.7ヶ月,初回重症度はgrade A,B,C,Dが各々52.8%,36.9%,8.0%,2.3%で,食道ヘルニアは69.6%に合併していた.長期変化は治癒軽快56.6%,不変増悪19.8%,消長23.6%であり,各々の観察期間が25.5,45.1,60.8ヶ月だった.長期観察例におけるSSBE合併率は263例中119例(45.2%)と約半数近い割合を占め,その内訳は初回併存例74例(28.1%),期間内発生例45例(17.1%)だった.SSBE新規発生までは平均36.5±24.2ヶ月の観察を要した.初回重症度別のSSBE合併率には差がないが,長期変化別では消長例で64.5%の高い合併率を示した.SSBEの形状別頻度は舌型47.0%,火炎型28.6%,ドーム型24.4%であり,初回併存例と期間内発生例の間に明らかな相違はなかった.SSBEの伸展に関しては,119例中7例(5.9%)に明らかな伸展が観察されたが,圧倒的多数は観察期間中不変であり,新規発生例では2例のみ伸展した.伸展例中6例(85.7%)はgrade C,Dの重症例に合併した.LSBEまで伸展した例は今回の検討例ではなく,SSBE由来の癌も発生しなかった.【結論】長期観察した逆流性食道炎患者では,不変増悪ないし消長を繰り返す難治例の比率が高かった.長期観察例の約半数近くにSSBEが合併し,その37.8%は期間中に新規発生した.しかしSSBEの伸展例は極めてまれで,LSBEまで伸展する例も認めなかった.
索引用語