セッション情報 口演

GERD 病態

タイトル O-293:

PAR-2による食道上皮TRPV4感受性の亢進

演者 鈴木 庸弘(富山大学第3内科)
共同演者 三原 弘(富山大学第3内科), 杉山 敏郎(富山大学第3内科)
抄録 背景:Gastroesophageal reflux disease(GERD)の病態の一部に食道過敏性が報告されている.他方,GERDの病態には十二指腸液の逆流も関与している.transient receptor potential vanilloid 4(TRPV4)は陽イオンチャネルで,伸展や温度刺激によって活性化され,ATPを放出する.Protease-activated receptor-2(PAR-2)はG蛋白共役型受容体で,トリプシンや肥満細胞から放出されるトリプターゼによって活性化され,神経においてはTRPV4感受性を亢進させる.今回,PAR-2の活性化がTRPV4の感受性に及ぼす影響を検討した.方法:マウス食道上皮細胞を用いて,TRPV4およびPAR-2の発現はRT-PCR,免疫染色,WB法で検討した.PAR-2およびTRPV4の活性はCa imaging法とATP測定で分析した.PAR-2活性によるTRPV4のセリンリン酸化を免疫沈降法で確認した.結果:マウス食道上皮細胞にPAR-2mRNAおよび蛋白が検出された.食道上皮細胞をトリプシンあるいはPAR-2-活性化ペプチドを前処置すると,TRPV4活性剤に対するCaイオンの流入およびATPの放出が有意に増加した.PAR-2活性化ペプチドで刺激するとTRPV4のセリンがリン酸化された.結論:TRPV4およびPAR-2は,マウスの食道上皮細胞に発現しており,PAR-2の活性化はTRPV4の感受性を亢進させ,それはTRPV4のセリンリン酸化を介していることが示唆された.下部食道に逆流したトリプシンは,食道上皮細胞に発現しているTRPV4を鋭敏にし,GERD,特に非びらん性GERDの病態や症候に関与する.
索引用語