セッション情報 口演

GERD 病態

タイトル O-295:

NERD,逆流性食道炎患者の二次蠕動波

演者 星野 慎太朗(日本医科大学千葉北総病院消化器内科)
共同演者 岩切 勝彦(日本医科大学千葉北総病院消化器内科), 川見 典之(日本医科大学消化器内科学), 佐野 弘仁(日本医科大学消化器内科学), 田中 由理子(日本医科大学千葉北総病院消化器内科), 坂本 長逸(日本医科大学千葉北総病院消化器内科)
抄録 【目的】GERD患者の調査では,夜間に胸やけ症状を有する患者が多いことが報告されている.二次蠕動波は就寝中に発生した酸逆流液の排出に重要であるが,NERDを含めた逆流性食道炎の重症度による二次蠕動波の出現率は明らかでない.今回,健常者,NERD,軽症,重症逆流性食道炎(RE)患者の二次蠕動波を検討し各群の違いを明らかにする.【方法】対象は健常者15例,NERD17例,軽症RE(LA分類,grade AまたはB)14例,重症RE(grade C)11例である.食道運動機能は,21チャンネルのサイドホールを有するカテーテルを使用しinfused catheter法により測定した.食道体部は2cm間隔のサイドホール,食道上部,UES,咽頭は3cm間隔のサイドホールで測定した.食道内圧の測定は,カテーテル固定後10分後より開始した.二次蠕動波は20秒間隔で5回,食道中部に20mlの空気を注入し,二次蠕動波の出現率,LES口側2,6,10cmの収縮波高を評価した.【成績】重症RE群の二次蠕動波の波高は,健常者,NERD,軽症RE群に比し有意に低下していたが,健常者,NERD,軽症RE群に違いはなかった.二次蠕動波の出現率は,RE群では重症REになるに従い有意に低下していた.NERD群の二次蠕動波の出現率は,健常者群,軽症RE群より有意に低率であり,重症RE群と同様であった.【結論】GERD患者の二次蠕動波の出現率は健常者に比べ有意に低下していた.特にNERD患者の二次蠕動波出現率は重症RE患者と同様に障害されていた.就寝中は唾液分泌が抑制され,酸逆流排出の重要な因子は二次蠕動波であるが,GERD患者では二次蠕動波の出現が障害された状態にあり,逆流液が長時間食道内に停滞するのと同時に,逆流症状が発生し易い上部食道に到達する可能性が高い.
索引用語