セッション情報 口演

治療抵抗性GERD

タイトル O-297:

PPI抵抗性GERDに好酸球性食道炎が含まれる可能性についての検討

演者 楠瀬 寛顕(東北労災病院消化器内科)
共同演者 大原 秀一(東北労災病院消化器内科), 浜田 史朗(東北労災病院消化器内科), 北川 靖(東北労災病院消化器内科), 前川 浩樹(東北労災病院消化器内科), 小島 康弘(東北労災病院消化器内科), 齋藤 大輔(東北労災病院消化器内科), 齋藤 晃弘(東北労災病院消化器内科), 半田 朋子(東北労災病院消化器内科), 中程 純(東北労災病院消化器内科), 玉渕 泰史(東北労災病院消化器内科), 高橋 麗子(東北労災病院消化器内科)
抄録 好酸球性食道炎(EoE)は粘膜内の著明な好酸球浸潤を特徴とする原因不明の疾患で,国内でも報告例が増加しつつある.診断契機は輪状溝,縦走溝,白濁塑像などの特徴的な内視鏡所見であるが,これらEoEに特徴的とされる内視鏡所見は本来のGERDの所見と類似する例もあり,内視鏡所見のみではEoEとGERDの鑑別が困難な例もある.よって,臨床現場ではEoEをGERDと診断しPPIによる治療が行われている例もあると推察される.当初EoEはPPIが無効でステロイドが有効とされてきたが,症例数の増加とともにPPIが有効なEoEも多く存在する事が明らかとなってきた.しかし,PPI無効でステロイドにのみ反応する症例の存在も事実であり,PPI抵抗性GERDとされている例にPPI無効のEoEが含まれている可能性が考えられる.【目的】PPI抵抗性GERDとされている例にEoEが含まれる可能性を探るため,EoEに対するPPIの治療効果を検討した.【方法】当院にて内視鏡所見からEoEを疑い生検にて確定診断が得られた11例中PPI治療による自覚症状,内視鏡所見,組織学的所見の推移を検討しえた9例の比較を行った.【結果】症例は男性8例,女性1例で年齢は20歳から71歳.初回治療は全例PPIであり,7例はPPIにより自覚症状,内視鏡所見,組織学的所見ともに改善が得られた.一方,当科初診時に他科から既にPPIを投与されていたにも関わらず自覚症状が消失せず内視鏡所見,組織学的所見でもEoEと診断された1例および初回診断時からPPIを投与したが自覚症状,内視鏡所見,組織学的所見のいずれも改善が得られなかった1例の計2例に対してはステロイド剤の局所療法(吸入用ステロイド剤の嚥下療法)を行い自覚症状,内視鏡所見,組織学的所見のいずれも改善がえられた.【結論】PPI抵抗性GERDとされている症例にPPI抵抗性のEoEが含まれている可能性があり,EoEを念頭に生検を併用するなどの鑑別診断が重要と考えられた.
索引用語