セッション情報 口演

大腸 他2

タイトル O-305:

排便習慣(便秘)からみた虚血性大腸炎

演者 若林 直樹(大津市民病院消化器内科)
共同演者 岩井 直人(大津市民病院消化器内科), 森田 幸弘(大津市民病院消化器内科), 小木曽 聖(大津市民病院消化器内科), 土井 俊文(大津市民病院消化器内科), 藤井 恒太(大津市民病院消化器内科), 高田 龍介(大津市民病院消化器内科), 高谷 宏樹(大津市民病院消化器内科), 益澤 明(大津市民病院消化器内科), 松本 尚之(大津市民病院消化器内科), 高見 史朗(大津市民病院消化器内科), 片岡 慶正(大津市民病院消化器内科)
抄録 【目的】虚血性大腸炎は,日常診療でよく遭遇する,比較的高齢者に多い良性疾患である.発症病態の観点からは,動脈硬化や便通異常などといった生活習慣の影響が大きいともいわれているが実態が明らかでない.本研究では,虚血性大腸炎と排便習慣の関わりを明らかにすることを目的とした.【方法】2010年9月1日より2012年8月31日まで2年間に,本院消化器内科にて,下部消化管内視鏡検査を施行し,虚血性大腸炎と診断した108症例のうち,発症エピソードの明らかな81症例を対象とした.性,年齢,発症時間,初発か否か,併存疾患,便秘の有無,嗜好などを検討項目とした.【成績】女性が62症例,男性は19症例と女性に多かった.年齢では,40歳未満に16症例あるものの60歳以上80歳未満に半数近くの38症例を占めた.発症時間では21時から24時までの3時間に26症例が発症し,2時台と6時台にもピークがあり,この5時間で全体の半数近くを占めた.初発が73症例,再発は8症例,3回以上が3症例あった.45症例が併存疾患を有し,高血圧症が最も多く,また高血圧症,高脂血症,糖尿病,脳血管障害のうちいずれか1つを認めるものは40症例あった.便秘を有したものは25症例あった.便秘を有した群と有さない群で,検討項目に明らかな差異を認めなかったが,男性では便秘を有するものは5%(1/19)であったが,女性では38%(24/62)であった.【結論】単一施設の検討であるが,虚血性大腸炎は女性に多く,早朝と夜間に発症する傾向にあった.排便習慣の関与(便秘)が指摘されるものは全体の約3割であり,特に男性では,その関与は低いと考えられた.
索引用語