セッション情報 | 口演大腸 他2 |
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タイトル | O-308:経腸栄養時の下痢に対する卵黄レシチン配合経腸栄養剤の効果の検討 |
演者 | 明石 哲郎(済生会福岡総合病院内科) |
共同演者 | 江崎 充(済生会福岡総合病院内科), 高橋 俊介(済生会福岡総合病院内科), 立花 雄一(済生会福岡総合病院内科), 池田 浩子(済生会福岡総合病院内科), 向井 康二(済生会福岡総合病院内科), 富田 洋介(済生会福岡総合病院内科), 水谷 孝弘(済生会福岡総合病院内科), 吉村 大輔(済生会福岡総合病院内科), 落合 利彰(済生会福岡総合病院内科) |
抄録 | 【目的】経腸栄養中に下痢の発生は高頻度に認められる.それに対し,栄養剤の投与速度の減速や変更などの対応がとられるが難渋することもしばしばあり,患者の栄養状態やQOLを低下させる原因となる.卵黄レシチンによる乳化は低pH条件下でもエマルションが壊れにくく,乳化状態が安定しており,胆管結紮ラットでも卵黄レシチンを使用した乳化液が大豆レシチンや合成乳化剤を使用した乳化液よりも脂質吸収に優れていることが報告されている.今回,我々は経腸栄養に起因する下痢に対し,卵黄レシチン配合のジャネフK-2S,K-LECを使用し,下痢のコントロールが良好に得られたので検討結果を報告する.【方法】2009年1月から2010年5月の間にK-2Sを7例,2011年4-9月にK-2Sに銅,亜鉛,セレンとビタミンを強化したK-LECを12症例に使用した.【結果】投与ルートはK-2Sは全例経鼻胃管,K-LECは10例経鼻胃管,2例が胃ろう.栄養剤投与量は変更前とほぼ同量で投与速度は変更しなかった.下痢の改善効果はK-2Sは全例,K-LECは11例で認めた.改善効果のない1例は便培養よりClostridium difficileが検出された.改善までの日数はK-2Sは1日が5例,3日が1例,5日が2例,K-LECは1日が9例,2日が2例と早期に改善した.K-2Sは微量元素含有が少なく,軽快後は経腸栄養剤を変更した.投与期間は2-16日(平均8.3日).状態急変,消化管出血で2例は絶食となった.1例は下痢出現し,再度K-2S変更で軽快した.4例はK-2S投与中止後に以前の経腸栄養剤に変更しても下痢は改善していた.【結論】卵黄レシチン配合経腸栄養剤は簡便に早期に効果がえられる方法であり,有用であると考えられた.感染性腸炎時はその治療も必要であった.経腸栄養剤の変更のみで効果が得られることより,患者および医療者の負担も軽減されると考えられた. |
索引用語 |