セッション情報 口演

大腸 基礎

タイトル O-309:

母子分離モデルにおける成人期ストレスによる大腸グリア細胞の形態変化と大腸運動機能

演者 藤川 佳子(大阪市立大学消化器内科学)
共同演者 富永 和作(大阪市立大学消化器内科学), 田中 史生(大阪市立大学消化器内科学), 十河 光栄(大阪市立大学消化器内科学), 山上 博一(大阪市立大学消化器内科学), 谷川 徹也(大阪市立大学消化器内科学), 斯波 将次(大阪市立大学消化器内科学), 渡辺 憲治(大阪市立大学消化器内科学), 渡辺 俊雄(大阪市立大学消化器内科学), 藤原 靖弘(大阪市立大学消化器内科学), 荒川 哲男(大阪市立大学消化器内科学)
抄録 【目的】母子分離(maternal separation:MS)モデルにおける急性ストレス負荷時の,大腸enteric glial cell(EGC)の発現動態,形態的変化,大腸運動機能への影響について検討した.【方法】Wistar系雄性ラットの生後2日目~14日目まで1日3時間MSを受けたMS群と,non-handled rat(NH群)に対して,8週齢時に水浸急性ストレス(AS)を経時的に負荷し,大腸組織のglial fibrillary acid protein(GFAP)の発現をRT-PCR,western blottingにて定量評価し,筋層間神経叢のwhole mount標本の免疫染色法にて形態評価した.大腸収縮能は,マグヌス法を用いてacetylcholine(ACh)刺激にて評価した.【結果】1)GFAPのmRNA,蛋白発現は,AS負荷4時間後に約1.5倍(p<0.05)に増加したが,MS群,NH群の間で差は認めなかった.2)神経細胞に向って伸長するEGC先端突起の形態は,AS負荷によりfilamentous-likeからsprout-likeへと膨化し,AS負荷MS群では,AS単独群に比しsprout-like突起の割合は約4倍,突起先端面積は約2倍増加を示した.この先端突起の形態変化は,αhelicalCRF拮抗薬の前投与で有意に抑制された.3)AChでの収縮反応におけるED50値は,MS単独群(1.3×10-7M,p=0.022)ならびにAS負荷MS群(1.1×10-7M,p=0.027)では,NH群(3.1×10-7M)に比較し低下していた.【結論】母子分離ストレスは,成人期での急性ストレス負荷により大腸EGCの形態的変化を引き起こし,大腸収縮反応に対する過敏性に関与する可能性が示唆された.
索引用語