セッション情報 口演

大腸 基礎

タイトル O-310:

二光子励起顕微鏡を用いたマウス敗血症モデルにおける好中球-血小板-内皮細胞反応の生体内可視化

演者 田中 光司(三重大学消化管・小児外科)
共同演者 沖上 正人(三重大学消化管・小児外科), 小池 勇樹(三重大学消化管・小児外科), 内田 恵一(三重大学消化管・小児外科), 三枝 晋(三重大学消化管・小児外科), 志村 匡信(三重大学消化管・小児外科), 近藤 哲(三重大学消化管・小児外科), 北嶋 貴仁(三重大学消化管・小児外科), 問山 裕二(三重大学消化管・小児外科), 奥川 喜永(三重大学消化管・小児外科), 小林 美奈子(三重大学消化管・小児外科), 井上 靖浩(三重大学消化管・小児外科), 荒木 俊光(三重大学消化管・小児外科), 毛利 靖彦(三重大学消化管・小児外科), 溝口 明(三重大学神経再生医学・細胞情報学), 楠 正人(三重大学消化管・小児外科)
抄録 【背景と目的】敗血症は播種性血管内凝固症候群(DIC)を発症する最も多い基礎疾患で,依然,致死率が高くその病態解明と新たな治療法の開発は喫緊の課題である.消化管微小環境においては,腸管内細菌が腸管外組織に移行する病態であるBacterial Translocation(BT)が敗血症発生の一因となりうる.今回,マウス敗血症モデルにおける消化管微小血管内の好中球-血小板-血管内皮細胞反応と血管内に侵入した細菌との相互反応を生体内で可視化する.【方法】Green Fluorescent Protein(GFP)マウスにlipopolysaccharide(LPS)10mg/kgを経静脈または腹腔内投与し敗血症モデルを作成.盲腸を創外に脱転し,Organ Stabilizing Systemにて固定.二光子励起顕微鏡で盲腸壁内の毛細血管後細静脈(10-50μm)を水浸600倍~1200倍で生体内観察した.また,Red Fluorescent Protein(RFP)標識大腸菌(E.coli)を経静脈的に投与し,血管内に侵入した生菌の動態を生体内観察した.【結果】マウス敗血症モデルの毛細血管後細静脈では,好中球の内皮細胞への接着,好中球-血小板反応が観察できた.LPSの経静脈的投与直後では,血小板凝集塊が血管内を流れるのも観察できた.内皮細胞に接着した好中球の中には,不整形,膨化,空胞化したものがあり,apoptosis→secondary necrosisまたはNETosisを呈している可能性が示唆された.RFP-E.coliの経静脈的投与直後でも,E.coliと血小板凝集塊との反応や,内皮細胞に接着した好中球にRFP-E.coliが接着する像が観察できた.【結語】二光子励起顕微鏡による生体内リアルタイムイメージングは,消化管微小循環における敗血症の病態生理の可視化が可能で,従来の病理組織学的解析を補完する形態学的評価が可能となる.
索引用語