セッション情報 口演

総胆管結石

タイトル O-315:

高齢者の胆管結石に対する内視鏡的治療成績

演者 上田 城久朗(熊本市医師会熊本地域医療センター内科)
共同演者 清住 雄昭(熊本市医師会熊本地域医療センター内科), 明石 隆吉(熊本市医師会ヘルスケアセンター), 小畑 雅寛(熊本市医師会熊本地域医療センター内科), 藤江 里美(熊本市医師会熊本地域医療センター内科), 山之内 健伯(熊本市医師会熊本地域医療センター内科), 中原 和之(熊本市医師会熊本地域医療センター内科), 陣内 克紀(熊本市医師会熊本地域医療センター内科), 田村 文雄(熊本市医師会熊本地域医療センター内科)
抄録 【目的】当センターでは適応があれば年齢の如何を問わず,胆管結石症例に対し内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)を施行している.今回,後期高齢者の胆管結石症の内視鏡治療について検討した.【対象・方法】対象は2006年1月から2010年12月までに当センターで内視鏡的治療を行った75歳以上の胆管結石症の初発例とした.同期間の初発の胆管結石症例は,504例であり,75歳以上の後期高齢者は232例であった.43例は胃全摘後などの理由により内視鏡治療が困難であったため,189例を対象とした.検討項目は,1)治療法と成績,2)完全切石に至った症例における胆管結石の累積再発率とした.【成績】対象は,男性87例・女性102例であった.年齢の中央値は83歳(IQR 79-88),結石サイズの中央値は10mm(IQR 5-10),結石個数の中央値は1個(IQR 1-3)であった.胆管結石に起因する併存疾患は,急性胆管炎93例,胆石性膵炎7例,播種性血管内凝固症候群(DIC)3例であった.1)治療法と成績については,ESTを147例に行い,残りの42例は抗凝固・抗血小板剤などの休薬ができない等の理由により胆道ドレナージ術のみ行った.死亡例が2例認められ,合併していた急性胆管炎や胆石性膵炎が死因ではなく,2例とも肺炎等の呼吸器合併症による死亡であった.2)ESTを施行した147例のうち108例(73.4%)は完全切石に至った.うち,13例(12%)に結石再発が認められた.【結論】今回の検討では,後期高齢者の胆管結石に対するESTを軸とした内視鏡治療は,安全に行えると考えられた.しかし,高齢者では臓器の予備能が低いため,特に心肺疾患を併存している場合は,治療後の全身管理が重要と考えられた.高齢者においては完全切石を行った症例の結石再発率は,われわれが報告している頻度(8-9%)より若干高い傾向となった.
索引用語