セッション情報 口演

胆道癌

タイトル O-321:

胆道癌の局所治療としての新規光増感剤レザフィリンを用いたPDTと抗癌剤併用効果と臨床応用

演者 七島 篤志(長崎大学大学院腫瘍外科)
共同演者 阿保 貴章(長崎大学大学院腫瘍外科), 野中 良和(長崎大学大学院腫瘍外科), 野中 隆(長崎大学大学院腫瘍外科), 磯本 一(長崎大学大学院消化器内科), 大仁田 賢(長崎大学大学院消化器内科), 永安 武(長崎大学大学院腫瘍外科)
抄録 【背景】切除不能胆道癌や術後再発に対しphotodynamic therapy(PDT)は,有用な局所治療選択肢の一つである(胆道癌診療ガイドライン推奨度C1).また進行胆管癌に対する化学療法は新規抗癌剤の登場によりその有用性が報告されており,各種局所治療を組み合わせた集学的治療戦略が望まれている.我々はPDTの臨床応用に向けた基礎的研究として,レザフィリンPDTと各種抗癌剤との併用効果の検討を行った.さらに6例の臨床での治療を行ったので報告する.【方法】胆道癌細胞(NOZ)を用いて,PDTと抗癌剤の併用効果の検討をin vitro(MTS assayによる細胞viabilityの評価),in vivo(腫瘍モデルマウスを用いた各種免疫染色による抗癌剤との相乗効果の検討)にて行った.2009年に長崎大学病院IRBの承認の下,レザフィリン投与によるPDTを開始した.【結果】レザフィリンを用いたPDTは従来のフォトフリンによるPDTよりもin vitroおよびin vivoにおいて殺細胞効果や新生血管障害能が勝っていた.レザフィリンPDTと抗癌剤併用では,in vitroにおいては,PDT単独群に比べ,各種抗癌剤ともにPDTとの相乗効果を認めたが,さらに抗癌剤2剤併用下ではgemcitabine+oxaliplatinの組み合わせが,他の併用と比較し高い殺細胞効果における相乗効果を認めた.in vivoにおいては,PDTとgemcitabine+oxaliplatin併用群で,高いapoptosis誘導効果と増殖抑制効果,周囲血管障害効果が得られた.6例の臨床投与では遅発性の皮膚炎は1例見られたが,明らかな有害事象は他に認めなかった.1例で48カ月SDで56カ月生存中の非切除症例を認めた.【結語】胆道癌に対するレザフィリンを用いたPDTと抗癌剤の併用療法は,今後の臨床応用に向けた集学的治療戦略の一つとして有効なmodalityであると思われる.
索引用語