セッション情報 |
ワークショップ7(消化器病学会・肝臓学会合同)
消化器疾患と性差
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タイトル |
消W7-7:食欲亢進ホルモングレリンの血中濃度における性差とその意義
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演者 |
石田 周幸(埼玉医大総合医療センター・消化器・肝臓内科) |
共同演者 |
山本 龍一(埼玉医大総合医療センター・消化器・肝臓内科), 屋嘉比 康治(埼玉医大総合医療センター・消化器・肝臓内科) |
抄録 |
【目的】食欲亢進ホルモンのグレリンは1999年、寒川らによって胃抽出物より発見された消化管ホルモンである。グレリンは食欲亢進作用以外に成長ホルモン分泌促進や心機能の改善、さらに胃蠕動運動亢進や胃酸分泌増加作用が認められる。しかし、グレリンの分泌機序については十分に解明されていない。近年、エストロゲンがその分泌に関与しているとの報告があり、エストロゲンによる食欲調節作用の可能性が示唆されている。演者らはこれまでグレリンの血中濃度に対する胃炎の影響について報告してきたが、今回、グレリン血中濃度における性差について検討しさらにその意義について考察したので報告する。【方法】 199人の外来患者(男134名、女65名)について朝食前空腹時採血を行い、血漿中アシルグレリンとデスアシルグレリン濃度を市販のキットにて測定した。【成績】 男女全症例について血漿中アシルグレリンとデスアシルグレリン濃度の性差を検討するとアシルグレリンとデスアシルグレリンさらに総グレリン濃度において女性において有意に高値であった。さらにヘリコバクターピロリ(HP)感染陽性者と陰性者に分けて検討するとHP陽性者においてアシルグレリンが、陰性者においてデスアシルグレリンと総グレリン値が女性において高値であった。60歳以上とそれ以下に分けて検討すると60歳以下のHP陽性群においてアシルグレリンが、60歳以上の陰性群においてデスアシルゴレリンと総グレリンが女性群において有意に高値であった。また、女性においては60歳代からそれ以前に比べて明らかに低値となった。男性においては30歳代から低下していた。【結論】 血漿中アシルグレリンとデスアシルグレリン濃度は男性と比較して女性で高値である。さらに男性においては30歳代から低下し、女性においては60歳代から低下する。その機序には経年的な体重増加と、女性においては閉経の影響が示唆された。 |
索引用語 |
性差, グレリン |